日本插花
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2023-10-13 坂木 龍太郎 (SAKAKI Ryutaro)
街中には涼やかないけばなも 台湾の秋を彩る花々たち
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」ーー万葉集に収められている山上憶良の2首の歌から、日本では「秋の七草」(オミナエシ、ススキ、キキョウ、ナデシコ、フジバカマ、クズ、ハギ)の概念ができあがった。「春の七草」が七草粥にして食べることで健康を祈願するのに対し、秋の七草は見て楽しむことが目的とされている。台湾では秋の七草に匹敵するような花や木は存在せず、手に入るものといえばススキくらいだが、そんな中でも季節の移ろいを感じさせてくれる花材がある。