共通語
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2023-05-08 内海彰(UTSUMI Akira)
【内海彰のふぉるもさ言葉考】①中国語?台湾語?台湾の各言語はどう呼んで区別すべきなの?
オランダ、清国、大日本帝国…そして中華民国、統治者が次々に入れ替わってきた台湾の言語事情はまことに複雑だ。現在、「共通中国語」(マンダリンチャイニーズ)が多くの場面で使用されるが、「福建語」の流れにある「台湾語」を話す人々も多く、「客家(ハッカ)語」や原住民の各部族語なども存在する。1949年に蒋介石が「中華民国」ごと台湾に逃れてきたため、広大な中国大陸の各地の言語も流入しており、日本語の痕跡も少なからず残っている。台湾の中国語を「北京語」と表現すれば政治的意図を含むとも誤解されかねない。また、北京土着の北京語、つまり北京出身者の母語である北京語との差も大きいことから、台湾の中国語を北京語と呼ぶのは間違いだという意見もある。台湾在住26年の筆者が、台湾における各言語の区別表現を考察する。