-
2023-10-01 台湾光華雑誌
タイルから読み解く世界史 堀込憲二の台湾ロード
近年の「路上観察学」ブームを受けて、庶民の日常に焦点を当てたさまざまな路上フィールドワークが行われている。街頭のちょっとした広告や看板、建築物の一角など、路上にのこされた貴重な文化財で時代を語る試みがなされている。それは歴史を語るにおいて、ひとまずマクロな視点から離れて、身をかがめてミクロな視点から台湾の細部に唯一無二の文化的景観を見出そうとする試みである。
-
2023-09-24 台湾光華雑誌
台湾美術の光 次の世代へ託す文化の灯
この2年間、台湾美術界は大変な盛り上がりを見せている。半世紀近く姿を消していた大理石の裸体像「甘露水」が再び出現し、国宝に指定された。「不朽の青春-台湾美術再発見」「光-台湾文化の啓蒙と自覚」「人・間-陳澄波と画廊」「台湾土・自由水-黄土水芸術生命の復活」など、台湾の先駆的な芸術家に関する展覧会も次々と開催された。また美術史学者・顔娟英と蔡家丘の共同企画で、23名の研究者による共著『台湾美術両百年』が出版され、質が高く売れ行きもよい同著は、一般の人々に台湾美術への扉を開くことになった。これまで長きにわたり、台湾の美術界にこうした活気などなかったと、誰が想像できるだろうか。
-
2023-09-17 台湾光華雑誌
美食の王国の名の由来は?曹銘宗VS翁佳音による食の歴史探訪
社會が農業中心だった時代を経験した年長者たちは「麺より米の方が腹持ちがする」と言う。「蓼食う虫も好き好き」と言うように「胃納(中国伝統医療の言う「胃が受け付ける」という機能。以下「食欲」とする)」の一面をついている。人は、子供の頃から食べて来たものに親しみ、食の嗜好や習慣を育む。 台湾人の「食欲」はどのように育まれたのか? その特徴は?その謎を解くべく、歴史作家の曹銘宗と中央研究院台湾史研究所・非常勤研究員の翁佳音がタッグを組み、台湾の食生活の変遷を遡る。
-
2023-09-10 台湾光華雑誌
歴史の道を歩く― 台湾の古道を極めた 楊南郡と徐如林
大航海時代から世界に知られてきた島--台湾は多様なエスニックを背景とし、豊かな物語に満ちている。前世紀の末から「台湾学」が盛んになり、多くの台湾人が研究を進めている。
-
2023-08-20 台湾光華雑誌
樹木はこの島の語り部 人と木々との関係
「ご搭乗の皆様、この便は間もなく桃園国際空港に到着いたします。現在の気温はさわやかな24℃、ちょうど春の花が咲き始める季節です。台湾各都市の街路樹も現在模様替え中で、さまざまな色合いで都市の通りを彩っています。観光の合間に、春と夏の新たな装いをご覧ください。また、台湾の樹木の物語をご用意していますので、この旅で台湾の樹木に関する視野を広げていただき、台湾のより豊富な姿に触れていただければ幸いです」
-
2023-08-13 台湾光華雑誌
人と森とのハーモニー 植樹を夢みる者 宋文生
屏東県霧台郷に住むルカイ族の宋文生は、若くして公務員の職を棄て、年長者に伴われて山林に分け入り、台湾固有種の樹木の植樹に携わる道を選んだ。過去40年間、植樹、伝統的な狩猟場・山林を保護整備することに一心不乱に力を注いできた。宋とその家族の私心を捨てた正義感に満ちた感動的な物語に触れる時、私たちは、自らが身をおく環境を大切にする気持ちを奮い立たせ、不毛の土地を緑化させることで、世界を動かすこともできるという信念を固くするだろう。
-
2023-08-06 台湾光華雑誌
天にとどく巨木の数々――神木の島 台湾
「私たちはこの島で、ずっとこれらの古く美しい大樹と暮らしてきたのです」と語るのは、「找樹的人――巨木地図プロジェクト」を主宰する徐嘉君だ。
-
2023-07-30 台湾光華雑誌
老木への想い 木の物語に耳を傾けて
「私は、常に木とともに。」巨大な老木が人々に寄り添いながら、四季が過ぎていく風景は、町内や村、キャンパスにおいてよく見られる。まるで一冊の地方志のように、老木は、土地を見守り、環境の変化の証人となる。しかし、老木それ自体の来歴について知ろうとしたことがあるだろうか?椅子を引きよせて、木の下に腰を下ろし、木と郷土の物語に耳を傾けようではないか。
-
2023-07-22 台湾光華雑誌
レジリエント・シティを目指して洪水と共生する道を歩む
かつてオランダ人は「世界は神が創ったが、オランダ(の大地)はオランダ人が造った」と誇らしげに語ったものだ。しかし21世紀に入ると、オランダ政府は「土地を河川に返す」ことを決めた。数世紀にわたって農地や居住地として利用してきた川沿いの土地を河川に返し、川の空間を拡張し、従来の遊水地や調節池としての機能を回復させようという考えである。
-
2023-07-16 台湾光華雑誌
自然災害との共存を学ぶ ――防災の最前線はデータ分析
2022年は穏やかな一年ではなかった。気候変動による極端現象が頻発し、世界各地でさまざまな災害が発生した。ハリケーン「イアン」はアメリカとブラジルを襲って1000億米ドルの損害をもたらした。夏にはヨーロッパが熱波に見舞われ、山火事や干ばつが起き、パキスタンでは百年に一度というレベルの大洪水が起きて国土の8分の1が冠水した。2023年の年初にはトルコとシリアで大地震が発生した。それより先には、スマトラ島沖地震(インド洋大津波)や日本の311東日本大震災があり、誰もがショックを受け、無力感を覚えたものだ。人間は大自然の力にはかなわないのである。