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2023-09-07 近藤伸二 (KONDO Shinji)
半導体「シリコンの盾」強化に踏み出す台湾 海外進出求められ陥るジレンマ【近藤伸二の一筆入魂】
世界の半導体サプライチェーン(供給網)で重要な役割を果たしている台湾が、最先端品の現地生産を拡充し、これまで手薄だった製造装置の自前生産にも力を入れるなど、半導体産業の一層の強化に踏み出している。半導体を敵の攻撃から守る「盾」に見立て、経済と連動させて台湾の防衛を堅固にしようとする「シリコンの盾(シリコンシールド)」と呼ばれる安全保障戦略が背景にある。一方で、日米欧などからは海外進出を強く求められ、応じざるを得ない現実もあり、台湾はジレンマに陥っている。
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2023-08-18 近藤伸二 (KONDO Shinji)
処理水放出への対応で東アジアが二分、台湾と韓国では与野党対立激化も【近藤伸二の一筆入魂】
東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出をめぐり、中国と香港が強く反発して対抗措置に乗り出したのに対し、台湾と韓国は一定の理解を示し、東アジア各国・地域の対応が二分している。現在の対日関係が反映された形になっているが、台湾と韓国でも野党は反対しており、与野党対立が激化している。日本政府は8月末にも海洋放出を始める予定とされるが、実施されれば、域内の混乱は避けられない見通しだ。
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2023-07-31 近藤伸二 (KONDO Shinji)
シャープ経営悪化で鴻海が突き付ける「経営陣交代」 試練迎えた日台企業提携【近藤伸二の一筆入魂】
電機大手シャープの経営が悪化し、日台の企業提携が試練を迎えている。台湾の親会社、鴻海精密工業はシャープに改善計画を要請し、成果が上がらなければ、経営陣の交代も求める構えだ。ただ、主因である業績不振の液晶パネル工場運営会社の完全子会社化について、日本の株主からは鴻海側の意向ではないかとの疑念の声も出ており、日台協力のシンボルともてはやされたシャープの経営の先行きは不透明感を増している。
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2023-07-17 近藤伸二 (KONDO Shinji)
豊かさで日本を超える台湾経済の強さと課題【近藤伸二の一筆入魂】
台湾が豊かさで日本を超える日が近づいている。台湾は生活レベルの指標となる1人当たり名目GDP(国内総生産)で2022年、韓国を抜き、日本に肉薄した。半導体をはじめとするIT(情報技術)産業で世界を席巻し、さらなる躍進を遂げようとしている。土地は九州ほどの広さしかなく、人口も約2300万人と中規模で、資源にも恵まれない台湾が、なぜこれほど発展を続けているのか。その強みと課題に迫る。
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2023-06-19 近藤伸二 (KONDO Shinji)
台湾・総統選で第三勢力民衆党の柯文哲氏が支持率トップに急浮上ー駆け引き複雑に【近藤伸二の一筆入魂】
2024年1月に行われる台湾・総統選で、第三勢力の台湾民衆党(民衆党)の柯文哲・前台北市長の勢いが増している。直近の世論調査で、与党・民主進歩党(民進党)、最大野党・中国国民党(国民党)の二大政党の候補を抜いてトップに躍り出た。民進党がセクハラ問題の対処に追われる中、若い世代を中心に柯氏の人気は高まっており、選挙戦の構図にも変化が生じている。
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2023-06-06 近藤伸二 (KONDO Shinji)
半導体製造だけじゃない?「設計」でも存在感高める台湾勢【近藤伸二の一筆入魂】
米株式市場で5月末、米半導体大手エヌビディアの時価総額が半導体企業として初めて1兆ドル(約140兆円)を超え、世界の注目を集めた。同社は半導体の設計を専門に行う「ファブレス」で、台湾出身のジェンスン・ファン(黄仁勳)氏が最高経営責任者(CEO)を務める。半導体を受託製造する「ファウンドリー」では、台湾積体電路製造(TSMC)が圧倒的なシェアを誇っているが、米国が得意とするファブレスの世界でも台湾の存在感が高まっている。
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2023-05-18 近藤伸二 (KONDO Shinji)
国民党は侯氏を公認 台湾・総統選主要3候補が出そろい、野党連携の成否も焦点【近藤伸二の一筆入魂】
2024年1月に実施される台湾・総統選の主要3候補が出そろった。4月に頼清徳副総統出馬を決定ずみの与党・民主進歩党(民進党)に続いて、最大野党・中国国民党(国民党)は5月17日、侯友宜・新北市長を公認候補に指名。第三勢力の台湾民衆党(民衆党)も同日、柯文哲・前台北市長を正式に公認候補に選んだ。これで三つどもえの選挙戦が本格化するが、国民党内には民衆党との連携を模索する動きもあり、野党協力が実現するかどうかも焦点となっている。
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2023-04-30 近藤伸二 (KONDO Shinji)
24年台湾・総統選で野党の候補者選び大詰め、候補一本化の可否も焦点に【近藤伸二の一筆入魂】
2024年1月13日に行われる台湾・総統選まで8カ月余りとなり、野党の候補者選びが大詰めを迎えている。最大野党・国民党、第三勢力の台湾民衆党とも、新総統就任のちょうど1年前となる5月20日ごろに決める予定で、最終調整を急いでいる。一足早く頼清徳副総統を公認候補に選んだ与党・民進党を追う展開となるが、野党側が候補者を一本化できるかどうかも鍵を握る情勢となっている。
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2023-04-06 近藤伸二 (KONDO Shinji)
米下院議長との会談で中国の「レッドライン」を打ち破った台湾・蔡英文総統【近藤伸二の一筆入魂】
4月5日午前(日本時間6日未明)、米カリフォルニア州ロサンゼルス郊外でマッカーシー米下院議長と会談した台湾の蔡英文総統。1979年の米台断交後、台湾の総統が米国で下院議長と会うのは初で、米台関係の強固さを世界にアピールした。2年連続で米下院議長との会談が実現した蔡氏にとって外交上の大きな得点だが、これに反発する中国の動向が注目されている。
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2023-03-27 近藤伸二 (KONDO Shinji)
中国の「外交孤立化」策に追い込まれる台湾、2024年総統選の行方にも影響【近藤伸二の一筆入魂】
中米ホンジュラスは3月26日、台湾と断交し、中国と正式な外交関係を結んだ。蔡英文政権下の台湾と断交したのは9カ国目。これで台湾が外交関係を持つ国は13カ国に減少し、29日からの蔡英文総統の中米2カ国訪問に水をさされた形となった。2024年1月に迫った台湾・総統選を前に、中国は台湾の「外交孤立化」策を進める構えで、対抗する米国と合わせた両国の動向が、総統選の結果を左右する情勢となってきた。