2021-12-22 経済

衝撃の最新調査 ヒマラヤ氷河が尋常でないペースで融解し、南アジア19億人が命の危機

© AP /TPG Images

地球温暖化により “世界の屋根”と呼ばれるヒマラヤ山脈の氷河が「尋常ではないペース」で融解している。その影響は、19億人もの人々の命を脅かすことになるとする最新の調査結果が、今週発表された。

 

米紙USAトゥデーによると、この地形学調査は英リーズ大のジョナサン・キャリヴィック博士と英ダンディー大学のサイモン・クック博士が率いるチームにより行われ、調査報告書は20日、英学術誌「サイエンティフィック・リポート」に掲載された。

 

キャリヴィック氏は、「ヒマラヤの氷が、過去何十世紀もの平均値より10倍以上の速さで解けていることが今回の調査ではっきりと分かった」とし、「その融解の加速度はここ数十年で顕著になっていて、人類がもたらした気候変動の時期と合致している」と分析した。これまでの研究で、ヒマラヤの氷河は過去700年で約40%失われたことが分かっている。

 

そのヒマラヤ山脈の氷河量は、南極と北極に次ぐ世界3番目で、「第三の極地」と形容される。また、世界最高峰のエベレストやK2など、世界的に知られる多くの山頂を持つことでも知られる。

 

USAトゥデー紙によると、ヒマラヤの氷河から流れ出る水は、同山脈周辺に住む約2億5000万人とガンジス川やインダス川、ジャムナ川などを含む大河の下流域の住民約16億5000万人にとって“命の水”となっている。そのため、氷河の消失は死活問題となるのだ。

 

その“命の水”の対象となるのは中国、インド、ネパール、ブータン、アフガニスタン、パキスタンやミャンマーにまたがる南アジアの広大な地域だ。

 

米誌「ナショナル ジオグラフィック」によると、地球温暖化のペース次第では、このヒマラヤ地域に約5万6000か所ある氷河の3分の1から3分の2が、2100年までに消滅するという国際総合山岳開発センターによる2019年の報告書もある。

 

誕生から数千万年とされるヒマラヤ山脈の氷河は、気候変動に敏感に反応する。地球温暖化が最初に観測された1970年代以降、巨大な氷壁は次第に薄くなり、後退していることはすでに分かっている。

 

その原因はガスや石炭、石油といった化石燃料の燃焼から発生する二酸化炭素やメタンガスなどグリーンハウス効果ガスの大気への排出によるものだ。過剰な二酸化炭素は、大気や海洋の温度を自然現象では説明がつかないレベルにまで上昇させている。

 

キャリヴィック氏は「われわれは人的な気候変動がもたらす氷河への影響を最小限に抑えることが、緊急に求められている」と訴え、クック氏も「周辺住民はこれまで見たこともない変化を目撃している。今回の調査は、このような変化が加速していることを再確認したもので、周辺国・地域に甚大な影響を与えることになる」と付け加えた。