注目ポイント
アメリカ・日本・中国の3か国間の競争の中で、いかに経済状況に左右されることなく競合他社に勝つか、それを握るのがサプライチェーンの強化とされ、各国とも力を入れている。台湾は、その経済構造と地理的な観点から、自由貿易を重視する日米と同じ立場にあるようだ。第一段階として貿易摩擦、第二段階がサプライチェーンの再編成であり、この先は誰が科学技術競争の中で生き残れるか、だ。
アメリカでサプライチェーンの「透明化」が進んで以降、日本も当然のように自国のサプライチェーンの“デトックス”を進めた。TSMCは工場建設の場所として「水の国」熊本を選んだ。それは、半導体製造時に必要になる大量の水をカバーするだけでなく、半導体と自動車産業の復興を助ける大きな鍵となるからだ。言い換えれば、自動車用の半導体の需要の高まりこそ日本が≪半導体戦略≫を積極的に推進している理由でもあるのだ。
透明性と安定性は、将来の世界の製造業の二つの大きな鍵となる。自国とのサプライチェーンに期待しているのは日本だけでなく、アメリカ・ドイツ・インド・シンガポールなどの国も台湾や韓国の半導体メーカーと積極的に提携を進めている。アメリカは世界の半導体産業の上流を支配しているゆえ、たとえ日本の経済産業省が2019年には投資目的で既にTSMCと接触を図っていたとしても、依然その主導権はアメリカにあるのだ。TSMCのアメリカ訪問に刺激された日本は、半導体製造の後半過程(パッケージやテスト)の技術の強みと他国と同等の資金援助をもってTSMCの日本誘致を勝ち取ったのだ。
EU22か国は昨年12月に「ヨーロッパの半導体レベル」を共同で強化すると発表。ドイツは今年の初め、自動車用半導体の大幅な不足により、中国の怒りを買ってでも台湾に生産の協力を求めた。アメリカの520億ドル、ドイツの50億~100億ユーロ、日本では6000億円…全ての国が、数十億ドル~数百億ドルの財政支援をして半導体への投資を開始しようとしている。この主導権争いの中で、アメリカはターミナルマーケットと上流を支配、日本は材料の供給をほぼ独占、加えて政府からの多額の補助が功を成し、日本とアメリカはTSMCの誘致に成功したといえよう。両国とも半導体製造システムの準備を大きく進めている。
原文作者:恕我無法支持
原文責任編集者:彭振宣
原文校閲者:翁世航
翻訳者:黄群儒
校閱者:TNL JP 編集部
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