2022-03-31 経済

中国が若者に人気のライブ配信業界に新規制 “消費者保護”でEコマースへの監視強化も

© Photo Credit: Reuters / 達志影像 Chinese streamer

今や300億ドル(約3兆6500億円)とされる中国のライブ配信市場をめぐり、中国当局は業界への新たな規制を計画していると米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。「テクノロジー企業に対する締め付けや、若者向けコンテンツに対する影響力を一段と強化する構えだ」としている。また、巨大化するEコマース(電子商取引)業界についても当局は健全化を目指すとしている。

同紙によると、当局は1日当たりのデジタルチップ(投げ銭)に上限を設けるための新たな規制案を作成中で、ライブ動画配信者がファンから受け取れる金額に1日当たりの上限を設けたり、コンテンツに対する検閲を強化したりすることも検討しているという。「中国では近年、モバイルネット利用者数が急増し、新たなコンテンツへの需要が高まっていることから、ゲーム・音楽・食品・買い物など多様なジャンルをカバーするライブ動画配信アプリの人気が爆発的に高まっている」としている。

そういった様々な分野の番組をライブ配信するのは一般人で、日本や欧米などでいえば若者に人気のユーチューバーのような存在だ。当局の規制案によると、ライブ配信者が1日に受け取れるプレゼントや投げ銭の上限を1万元(約19万円)に設定するというものだ。政府はライブ配信者が容易に金儲けをできることになれば、若者たちに悪影響を及ぼすことを懸念しているという。

そのため、中国でメディアを統制・管理する政府機関・国家広播電視総局は2020年、全てのライブ配信者と投げ銭をする視聴者に氏名の登録を義務付け、18歳以下の未成年がプレゼントや投げ銭を贈ることを禁止した。

また、性的にきわどいコンテンツや、詐欺まがいの番組などのライブ配信も増加している中、中国のテレビ局・中国中央電視台は今月上旬、男性視聴者から高額のプレゼントや投げ銭を要求する若い人気女性ライブ配信者を例に挙げて、そのような社会風潮を批判した。

一方、Eコマースのハブである中国東部・浙江省の当局は、ライブ配信によるショッピングチャンネルで販売されている商品や販売元の審査を厳格化する指針を発表した。これは政府が取り組む不良品や業者による脱税の取締強化に沿ったものだとしている。

28日に発表された指針は、「一般消費者がライブ配信によるEコマースを利用した際の調達リスクを軽減し、業界全体のスタンダードを改善することを目的とする」と強調。香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストによると、指針が作られた背景には、コロナ禍でリモートワークが急増し、Eコマースを利用した商品購入が増える中、ライブ配信業界によって消費者の権利が侵害されることを防ぐための監視強化なのだという。

同紙によると、ライブ配信によるEコマースの市場はコロナ禍の20年に倍増し、その規模は1510億ドル(約18兆4100億円)に膨れ上がった。中国の調査会社iiメディア・リサーチは、23年には31兆円の巨大産業に成長すると見込んでいる。

中国最大の電子商取引プラットフォームを提供しているアリババ・グループ・ホールディングスの「タオバオ」や、同じく電子商取引プラットフォームで、「世界中の良いモノが見つかる」がうたい文句の「小紅書」、またティックトックの中国国内用アプリ「抖音/ドウイン」や、モバイル向けショートビデオアプリ「快手」などの大手が業界をけん引している。

 

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