2021-12-16 経済

韓国がTPP加入申請を表明したことで見えてきた 中国の真の狙いは“親中派”使い台湾の参加阻止か

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環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟をめぐる動きが活発化している。中国と台湾が9月、相次いで加盟を申請すると、すでに申請していた英国は同月、TPP加盟国とオンラインで初の協議を行い、本格的な加盟交渉を開始した。すると今度は韓国が今週、加入申請を表明したのだ。

 

韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は13日、TPPへの加盟申請に向けた手続きを始めるとし、「アジア太平洋地域の経済秩序が活発に変化している。加盟論議をこれ以上、政府内にとどめることはできない」と説明。来年5月までの文在寅政権の「任期中に申請することを目標にしている」と明かした。ただ、農家などから加盟反対の声は根強く、国内世論を集約していく必要があるとしている。

 

新たな加盟の可否は、日本を含む全11加盟国の全会一致で決定する。また、ロイター通信によると、モノの関税だけでなく、知的財産や投資の保護、政府調達、国有企業、電子商取引などのルール面で条件を満たす必要がある。

 

韓国については、2011年の東京電力福島第1原発事故後、汚染が懸念されるとして日本の水産物の輸入停止を続けていることなどから、この問題だけでも加入に障害になることは明らかだ。

 

韓国紙・中央日報によると、洪副首相は15日の記者懇談で「福島産水産物問題は日本が提起できるものだが、協議過程で議論になるだろう」と述べた。ただ、国会報告と批准、加盟国との交渉など残るハードルも多く、実際の加盟交渉まで2~3年はかかる見通しだと同紙は伝えた。

 

いずれにせよ、2019年に日本政府が半導体素材などの輸出管理を強化したことをきっかけに、日本製品不買運動を展開するなど“反日”に明け暮れる韓国に対して日本側がTPP加入を認めることは、よほど日韓関係が改善されない限り実現しないというのが現状だ。

 

一方、日本は英国や台湾の加盟申請について、当初から「歓迎する」との立場を表明。中国が台湾加盟に強く反発する中、現在の議長国・日本は「協定は新規加入の対象を国、または独立関税地域と規定している」とし、「台湾の加入は協定上可能」だとしている。

 

その中国が加盟申請したことに日本は驚きを隠せず、慎重な姿勢を示している。そもそも中国がTPPの加入条件を満たすためには高い壁がある上、加盟国のオーストラリアやカナダが対立する中国参加を認めるとは考えにくいことから、中国の真の狙いは「“親中派”の加盟国に働きかけ、反対票を投じさせる台湾加盟阻止なのでは」とのうがった見方も出ている。

 

TPPは米国離脱後、日本、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、マレーシア、ブルネイ、シンガポール、ベトナム、メキシコ、チリ、ペルーの11か国から構成され、2018年12月30日に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」として発効。この枠組が世界貿易の約15%を占めている。