注目ポイント
最近、SpaceX社社長のイーロン・マスク氏が同社社員宛にメールを送った。その中身は、新世代ロケット・スターシップのラプターエンジンが生産危機に陥ったという衝撃的なもの。しかも、来年2022年までに2週間に1度のペースで、スターシップを打ち上げられなかった場合、SpaceXは「倒産リスク」に直面する可能性がある、とも書かれていた。
実は、SpaceX倒産の噂は何度も出ており、マスク氏はツイッター上で、全世界経済の著しい衰退が問題を引き起こし、同時にSpaceXがスターリンクとスターシップに数十億の損失を出し続けた場合、リスクは低いが、必ずしも倒産しないとは言い切れないとコメントしている。「ゼネラルモーターズとエレクトロラックスは、前回の衰退時に倒産を公言した」と自身で投稿しており、その終わりにインテルの今は無き伝説のCEOアンディー・グローヴ氏(Andy Grove)の名言「パラノイアだけが生き残る」を引用している。
スターシップの「ラプターエンジン」研究・開発にも暗雲
現在SpaceXはテキサス州で次のロケット飛行船スターシップの開発を行っている。この飛行船はマスク氏が人類を火星に連れていくために設計した重要な交通手段であり、第一段階では月への安定した着陸を目標としている。飛行船が正式に人類を乗せる前に、重要課題であるエンジン生産問題を解決しなければならず、このエンジンは企業によりラプターエンジンと名付けられたが、最近このエンジン研究開発に良からぬ事態が起きている。
宇宙ニュースサイト「SpaceExplored」は、マスク氏の社員宛のメールには次のように書かれてあったと報じている。「不運なことに、ラプターの生産危機が数週間前と比べ、さらに悪化している。前管理役員が離職し、残した問題の研究に取り組んだ際、そのエンジンは既に私たちが認識していたよりも遥かに悪い状態にあった」。そのうえで「私はもともと今週末に久しぶりの休暇をとるつもりだったが、残念ながら結局、ラプターエンジンのことで時間を割いてしまった」とマスク氏は話していたという。
ニュースでは、メール上の管理役員がSpaceX推進副総裁のウィル・ヘルツリー氏(Will Heltsley)である可能性を指摘しており、エンジンの研究・開発が進展しないことにしびれを切らし、離職したことも考えられるとある。これ以外に、前任務発射運営副総裁リー・ローゼン氏(Lee Rosen)と任務発射運営副総監督リック・リム氏(Rick Lim)もそれぞれ自主的に離職したと報道されている。
「Space Explored」は、さらに詳しくこのニュースに触れ、マスク氏がメールで「家族の重大事情または研究開発センターに来られない場合を除いて、私たちは全力でこの災難に立ち向かい復興に務める必要がある」と全社員の協力を求めたとも報道している。