2022-03-23 経済

露のウクライナ侵攻で台湾人は米国に悲観的 台湾有事で期待するのは米軍より自衛隊?

© Photo Credit: Reuters / 達志影像

台湾を訪問しているマーシャル諸島共和国のデービッド・カブア大統領は22日、蔡英文(さいえいぶん)総統と会談し、台湾との関係を堅持することを表明した。ロイター通信によると、台北での歓迎式典に出席したカブア氏は、台湾とマーシャル諸島の「類のない同盟関係」に自信を持っていると強調し「今後も関係強化に取り組むことを再確認したい」と述べた。

蔡総統にとって限られた外交機会を最大限に生かすことは、台湾にとって存在感を世界に示すことになる。だが、その方針とは裏腹に、蔡政権が発足した2016年に台湾と外交関係を持っていた22か国は、直近では昨年12月に中米ニカラグアが中国と国交を回復したのと同時に台湾との外交関係を解消し、現在マーシャル諸島を含め14か国にまで減少した。これは中国が台湾を国際舞台で孤立させるための外交攻勢を仕掛けた結果だ。

それでも蔡総統は外交関係を結んでいる国々が、これ以上中国になびくことを防ぐための外交努力を続けている。今年1月下旬に行われた中米ホンジュラスのシオマラ・カストロ大統領の就任式には、蔡政権を代表して頼清徳(らいせいとく)副総統が出席し、カストロ氏と会談。来席したカマラ・ハリス米副大統領とも会話を交わしたのだ。これは、台湾と米国が1979年に断交して以来、公的な場で米台間の首脳級が直接顔合わせをする初めての機会となった。

そのホンジュラス訪問からわずかひと月足らずで勃発したロシアによるウクライナ侵攻。NATO(北大西洋条約機構)という軍事同盟に加入していないウクライナの悲劇を目の当たりにし、台湾人の誰しもが中国による台湾有事が頭をよぎったという。

そんな中、台湾の民間シンクタンク「台湾民意基金会」が、安全保障に関する世論調査を実施。20歳以上の台湾人を対象に14~15日、電話で聞き取り調査を行い、1077人から有効回答を得た。22日に発表された調査結果は、驚くことに「台湾有事に日本の自衛隊が参戦する」と回答した人は43・1%で、これは米軍の参戦を信じる人の34・5%を上回った。一方、「自衛隊は参戦しない」が48・6%で、「米軍は参戦しない」は55・9%だった。

昨年10月の前回調査では、自衛隊の参戦を信じる人は58%、米軍の参戦については65%。今回は台湾有事の際、日米両国が参戦する可能性について悲観的な見方をしていることが分かった。

同基金会は、「まれにみる世論の急激な変化」とした上で、「今回のウクライナ侵攻で、米国が派兵しなかったことは台湾の人びとに大きな衝撃を与えた結果だ」と分析した。

さらに同調査によると、中国による侵攻があった際、台湾が単独で戦うことを余儀なくされると答えたのは59・7%で、台湾のみでは中国の占領を阻止できないと考える人は78%に上った。また、ウクライナの境遇に同情するとした人は87・2%だった。

台湾有事に関し、日米ともに軍事介入するかどうかは従来通りの「あいまい戦略」を取っている。特に米国の場合、79年に制定された「台湾関係法」が存在し、台湾防衛については米大統領に軍事行動の選択肢を委ねている。ただ、同法は「米国は台湾の防衛を保障するものではない」としている。

自衛隊については、なおさら複雑だ。もし在日米軍が出撃すれば、中国に対抗するため、米国が日本に後方支援や米軍との共同行動を要請する可能性が高い。そうなった場合、政府が「存立危機事態」と判断すれば、集団的自衛権の行使対象となり、戦闘への参加は避けられなくなると多くの専門家はみる。

また、共同通信は昨年12月、自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画の原案を策定したことが分かったと報じた。記事は「有事の初動段階で、米海兵隊が鹿児島県から沖縄県の南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置くとしており、住民が戦闘に巻き込まれる可能性が高い」としている。

台湾有事は日本有事と直結している。

 

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