2022-03-23

ポストコロナ時代における旅行「スロートラベル」「ワーケーション」「観光不動産」とは?

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注目ポイント

多くの人は、新型コロナウィルスが世界を元の姿に戻せないと思っているが、そうではない。「スロートラベル」「自然回帰」「ワーケーション」などの新たな旅行スタイルが登場し、新形態の旅行ブームが流行しはじめ、全く新しいビジネスチャンスをもたらしている。企業はこのブームが再び起こる前に何を準備すべきか? 現状と未来についての見解と提案をする。        

 

新型コロナウイルスの感染症は、観光業にとって前例のない大恐慌をもたらし、多くの人々が「海外に行きたい」という思いを2年以上つのらせた結果、「リベンジ」旅行や買い物が、ポストコロナ時代の姿となった。

そして「鎖国」「ロックダウン」「隔離」「遠距離」などの過去には異常とされてきた様式が、今ではほとんどの人にとっての日常となった。2年が経過した今も、旅行客は家に閉じ込められ、環境と心身の状態の変化と共に、旅行への欲求は最高潮に達している。

多くの人は、新型コロナウイルスが世界を元の姿には戻せないと思っているが、そうではない。「スロートラベル」「自然回帰」「ワーケーション」などの新たな旅行スタイルが登場し、新形態の旅行ブームが流行し始め、全くの新しいビジネスチャンスをもたらしている。企業はこのブームが再び起こる前に何を準備するべきなのか?

観光関連企業を顧客にITソリューションを提供しているAmadeusの統計によると、世界中の回答者のうち77%が、2022年には旅行に行きたいと回答したという。Booking.comの統計によると、42%の人が今後はより多くの旅行がしたいと回答している。信じがたいことに、台湾では72%の人が昇進や、恋人を見つけるチャンスを捨ててでも海外旅行に行きたいと回答し、66%の人は既に今後の海外旅行計画を立てていると回答した。

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トレンドは自然回帰、ビーチ旅行が1位に

国内はおろか家から2年間出られず、まだ室内にいたいのか?答えは明らかだ。Booking.comの世界統計によると、回答者の53%は長期に渡るホームステイにより「外の世界」に触れたいと回答。47%は「非」観光地(有名ではない観光地)に旅行したいと答え、34%はビーチが必須条件だと答えた。

この統計では、「海外旅行」「自然回帰旅行」の割合が著しく増加し、自然景観に関する検索ワードも増加傾向にある。ハイキング(94%)、きれいな空気(50%)、大自然(44%)とリラックスした旅(33%)等を含み、これらの数字は観光客が新たな自然スポットを求めていることを表している。

台湾の観光客の49%は、今後は比較的人気のない場所を選んで旅行する予定だ。また、21%の人々はのんびりしたビーチ旅行やスパ旅行が再開したら最初に選びたいと回答している。


遠出より近場——旅行先として近隣国を選ぶ

シン・メディアが2021年に“台湾人が楽しみにしている旅行先”について調査したところ、台湾人観光客に最も人気のある旅行先は引き続き日本(43%)で、次いでタイ、韓国、ベトナム、マレーシアとなっている。台湾人が望んでいる旅行先は依然として身近なアジア諸国であることが分かった。1つ目の理由は便利で安く、慣れているからである。2つ目に、何か非常事態が起こった時、遠ければ遠いほどリスクがあるため、今後数年は近隣諸国を旅行先に選ぶ人が多くなる傾向にある。

皆さんが知っている人気スポットの中で、どこが観光客の新しいニーズに合うのだろうか?Booking.comは全世界で「自然と都会の便利さを兼ね揃えている」というテーマでいくつかの観光地をピックアップ。そのうち6つの都市は欧米にあり、アジアの中でランクインしたのは台湾とマレーシアのビーチだ。


心身をリラックスさせる「スロートラベル」が新たなニーズに

新型コロナウイルスという世界的な災難が猛威をふるった後、長い間、同じ環境にいた人は1人の時間が増え、その多くが生と死を経験した。人々は社会と個人と自然の関係を改めて考え直した。これらの大きな変化は、徐々に人々の思考と好みに影響をもたらし、ほとんどの人の旅行に対する考えと選択を変えた。「環境資源センター」の分析によると、短期の「観光」行程はもはや主流ではなく、心身をリラックスさせる「スロートラベル」「エコツーリズム」が、現在の旅行の新たなニーズである。

とはいえ、スロートラベルは新しい概念ではなく、ヨーロッパの人々は既にそのような旅行モデルを持っていた。スロートラベルとは、旅行の時間を長くして現地に溶け込み「偽地元民」となり、ゆっくり歩き、自然に入り、お土産を買わず、人気の観光ルートを行かず、自分の物語だけを持って家に帰る。

新型コロナウイルスによって長期間、緊張を強いられて疲れた人々にとって、スロートラベルへの需要は高まる一方だろう。


全く新しい旅行モデル「ワーケーション」――仕事しながら遊ぶ

この期間中、旅行の目的と日程に新たな可能性が生まれ、ビジネス旅行とレジャー旅行が融合する傾向にある。「Workation—Travel Office」の概念が生まれ、より身近で高速なインターネット環境(5G)により、仕事をしながらの旅行が可能となった。また、コロナ期間中でオンライン作業やリモートで会議をする機会が増え、習慣化された。

場所を問わず遠隔で仕事が出来るリモートワークから、仕事と旅行のワーケーションまで、この新しい旅行/仕事形態が、徐々にトレンドになっている。空間に制約されない働き手は、好きな環境を選んで自由に働き、1日の仕事を終えた後にプールやビーチでリラックスすることが出来る。

このようなトラベルオフィスは、従来の機械的な仕事モデルから抜け出し、働き手により多くの選択を与え、生活に張り合いをもたらし、視野を広げ、仕事のモチベーションを維持することで生産性を高める。

旅行形態の変化によって、企業のサービス転換は必然的だが、この現象は実は旅行産業に全くの新しい発展の可能性をもたらした。旅行と仕事、生活が融合し一部の人にとって日常になると、旅行者の目的は観光地に限らず、世界中のどこでもいいことになった。旅行サービスはもはや観光業の専売特許ではなく、資源があり、経営能力があれば誰でも参加出来る活動だ。

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観光不動産投資と旅行関連投資のすすめ

ビル・ゲイツ氏が所有する投資会社Cascade Investment LLCは、旅行関連の投資を行う大手企業だ。同社は、2021年に約600億台湾ドルを投じてフォーシーズンズの経営権(最大71.25%の株)を取得し、新型コロナウイルス終息後の旅行市場の回復に強気の姿勢だ。そして、ほとんどの旅館にとっては困難な時期であり、価格も前代未聞の低迷をしている今こそ、投資家たちにとっては最も最適な参入のタイミングなのだ!


レストランとAirbnbの新たな方向―旅行と仕事兼用ソフト&ハードウェア

ワーケーション・トラベルオフィスの台頭は、旅行業界にとって間違いなく好都合だった。このトラベルオフィスの従業員(以下、ワーケーショナー)は、通常混雑した高い人気観光地を選ばず、平日や休日以外は適当な場所に移動し、離れた場所で仕事をしたり遊んだりしている。新しい需要は新たなビジネスチャンスをもたらし、閑散期の集客を増やし、同じ場所で収益性の高いビジネスが出来る時期が増えるのだ!

考えるべきは、伝統的なレストランや民宿、旅館は宿泊と観光のニーズにより設計された空間が多く、部屋のほとんどはベッドとソファーのみ、多くて机が1つ程度。公共スペースは、飲食、カフェ、解放されたロビーなどの社交場が多く、ホテル内には適切なワーキングスペースが少ないので、ワーケーショナーを誘致しづらいのだ。

既存の空間を利用し、ワーケーショナーの求めるソフトとハードを強化し、旅行と仕事を両立させるために、ホテル内の稼働率の低い余暇空間(例えば、売上高の悪いカフェやビュッフェレストラン等)を見直し、コアワーキングスペースを作るなどすることを勧める。この空間には、年齢制限、子供の出入りを禁止したりすることでワーケーショナーが仕事に集中できるようにする必要がある。家族連れをもターゲットにするために、プレイスペースを作り親子の楽園を作ることだけは、絶対に避けなければならない。

客室に関しては、十分な広さがあればガラスや仕切り板をうまく使い、ベッドと作業空間を区切ってオン・オフを区切りやすいようにする。仕事空間は、本当の仕事場のように感じられ、普通のホテルではなく仕事と旅行の気持ちの切り替えを素早く出来るのが理想的だ。また、高速で安定したネット環境は必須条件であり、ほとんどの場所では難しいことではないだろう。これについては多くは語らない。

投資した観光不動産がAirbnbでも同じ概念であれば、ワーケーショナーが自由に切り替えられる空間を用意出来れば、利用率も上がるはずである。


ロビーは社交場として距離感のあるデザインに

かつてホテルのロビーはお客様が到着し、チェックイン、アウトをするだけの場所だったが、現在では多くのホテルのロビーに客が集まり、交流するための場所と捉えている。成功したホテルの中には、快適な空間や新たなダイニングの選択肢を作ることで、来客や地元の人々をロビースペースに誘致することに成功している。

ポストコロナ時代、ホテルロビーはさらに宿泊客の社交活動の重要な場所になるだろう。一般的なホテルのように広く、解放的なロビーではなく、異なるグループの人々が同じ空間で一緒に仕事が出来るように、様々なエリアが用意されている。「オープンスペース+セパレーション」の設計により、社会的な行動が安全かつ楽しく行えるようになっている。

SNSの普及により、新しい世代の宿泊客はSNS上のプラットフォームを使って、ホテルでの宿泊体験を含む自分たちの生活を共有することを好む。また、SNSでシェアする価値のあるインスタ映えするホテルに泊まりたがり、2枚の写真を撮った後、恐らく部屋はぐちゃぐちゃになるが、ロビーは常にいい状態を保つことが出来るため、ますますロビーのデザイン・企画に重点が置かれる。

観光収益、カーボン・クレジットの販売、ブランドイメージを一気に獲得

台湾国内住宅仲介業のトップである「信義房屋」は、業界に新たな可能性を示した。2019年、信義は14億台湾ドルを投資し、マレーシア・サバ州の首都コタキナバルから56キロ、面積300ヘクタール以上(大安森林公園10個分以上)もある沖合のビーチアイランドを買収し、観光産業に参入した。翌年には、サンゴ礁やウミガメ、森林を再生してゼロから島を作る計画が発表され、信義グループは2030年のゼロプロジェクトに向けて動き出している。

このように、信義は希少資源を持つ美しい島での観光収益をあげ、余剰のカーボン・クレジットを売却し、環境保全と持続可能な経営で企業イメージを高めることもでき、一石三鳥なのだ!

実際、信義房屋がマレーシアのサバ州に旗を立てただけでなく、多くの国際的なホテルブランドもコロナ前後にこの地域の土地を買い、建物を建設し、多国籍ホテルブランドを導入することを選択していた。Alila resort(2024)、Club Med、Hyatt Regency、Sheraton Sabah、The Luma(Design Hotels by Marriot)等10の5つ星のホテルを有するホテルブランドは、コロナ終息後の観光客の回復や人々の自然志向への需要を考慮し、今後10年以内に完成させる予定だ。

信義房屋を規範として、グローバル・カーボンニュートラルの列車に便乗することを目論んでいる企業もある。この新型コロナウイルス終息後、観光だけでなく今後30年間、ESGとも連携ができる。

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自然と都市の利便性と快適性を同時に実現することが人気の秘訣

前述の分析から、新型コロナウイルス終息後の旅行は、都会に疲れ、安全面を考慮して旅行を好む多くの人は、喧騒を離れ自然の中に身を置くことを好む。だが、都会を離れることは、ある程度の便利さや快適さを犠牲にすることでもあるのだ。もしくは、半年前から予約していて、すでに観光客が定員に達している混雑したリゾート地に再び行列を作るかのどちらかである。

かつて、バリ島やプーケットなどの人気観光地は、開発が飽和状態でほとんどが人工的に作られた風景となった。高級な5つ星ホテルはあるものの、手つかずの自然美に欠け過密な状態だった。比較的開発が進んでおらず、まだ人気のない新たな名スポットを見つけることが出来れば、これからの観光客の注目の的となり、観光投資家の次なるチャンスにもなるはずだ!

まとめ=巨人の足跡をたどって、最下位の観光産業に投資し、ポストコロナ時代の新しい観光トレンドを観察してから投資しよう!

 

 

原文作者:Bear Chang
原文責任編集者:王祖鵬
原文校閲者:翁世航
翻訳者:黄群儒
校閱者:TNLJ編集部