注目ポイント
8月20日に過去最高の新規感染者数25,851人1を記録したが、その後減少に転じ、10月9日には東京都で82人、全国で774人、今回の調査の直前である10月29日の段階では東京都が24人、全国で292人、11月に入って1日には東京都でついに一けたの9人、全国でも初の二けた84人2にまで激減した。これはメディアで何度も繰り返し強調された3密回避、飲食業の酒提供自粛、営業時間の短縮、マスク着用の徹底など、国民の努力と犠牲によるところが大きいと言えるが、なんと言ってもワクチンの普及が感染者数激減の最大の理由であると考えられる。
この調査の約1か月前に緊急事態宣言が解除され、まん延防止等重点措置も終了した。やっとトンネルの出口が見え始めたと感じる人も多いのではなかろうか。
このような状況の中で、コロナ禍の現状に対する日本の一般消費者の実感がどのように変わって来たかを洞察するためにこの調査が企図された。

過去1年間の日本の状況が悪化していると答えた人は、この調査が始まって以来初めて半数を切った。これまでは今年6月の70%、7月は67%、8月と9月はそれぞれ69%、10月は60%であったのに対し、今月の調査では49%となった。
一方、今後一年、日本の状況がどうなっていくかについて調査したところ、悪化するだろうと感じている人はこれまでで最低の33%、好転すると考えている人は、微増ながら、これまでで最高の18%となった。
ただこの2年間のコロナ禍で生活スタイルが大きく変わり、経済活動の自粛や巣ごもりなどの影響で多くの人が疲弊しているからか、さらに言えば、日本では感染者が減っているにもかかわらず、世界ではまだお世辞にも収束しつつあるとは言えない現状3では気をゆるせず、今後一年間の日本が今より良くなると答えた人が約2割なのに対し、悪化すると答えた人が約3割と、まだまだ手放しで楽観できる状況ではない。
今後1か月の支出予算の変化
今後1か月の消費予算の変化を調査したところ、コロナの感染状況は日々好転しているのに、予算が増加すると答えた人は18~29歳が8%、30~39歳が13%、40~49歳が10%、50~60歳が11%というふうに消費の拡大傾向はみられない。
これに対して予算減少を予想している人は18~29歳が19%、30~39歳が27%、40~49歳が24%、50~60歳が23%となっており、全体でも減少を予想している人は増加を予想している人の約2倍にもおよんでいる。つまり、約7割の人が現状維持を想定しているということである。


支出予算変化を商品カテゴリー別に見ると、外食/娯楽部門は18~29歳では増加予想の人は21%、削減予想の人は11%で、2倍近く差をつけている。他の年代も、外食/娯楽部門をはじめ、家庭用品、旅行でも、全て増加予想の方が多くなっているが、50~60歳代は、わずかながら全てのカテゴリーで減少予想の方が増加予想を上回っている。
減少・増加のどちらも想定していない人、つまり現状維持を想定している人の割合は外食・娯楽が約6割、家庭用品が約8割、旅行が約6割となっており、この現状維持を想定する人の割合は過去数か月の調査に比べて多少増えている。過去、支出減少を予想していた人が現状維持想定にシフトしたためと思われる。ここにも感染者数の激減や緊急事態宣言解除のいい影響が出てきているのではなかろうか。