2021-12-15 調査データ

コロナ禍の現状に対する実感及び衆議院選挙の争点についての調査

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注目ポイント

8月20日に過去最高の新規感染者数25,851人1を記録したが、その後減少に転じ、10月9日には東京都で82人、全国で774人、今回の調査の直前である10月29日の段階では東京都が24人、全国で292人、11月に入って1日には東京都でついに一けたの9人、全国でも初の二けた84人2にまで激減した。これはメディアで何度も繰り返し強調された3密回避、飲食業の酒提供自粛、営業時間の短縮、マスク着用の徹底など、国民の努力と犠牲によるところが大きいと言えるが、なんと言ってもワクチンの普及が感染者数激減の最大の理由であると考えられる。

この調査の約1か月前に緊急事態宣言が解除され、まん延防止等重点措置も終了した。やっとトンネルの出口が見え始めたと感じる人も多いのではなかろうか。

このような状況の中で、コロナ禍の現状に対する日本の一般消費者の実感がどのように変わって来たかを洞察するためにこの調査が企図された。

過去1年間の日本の状況が悪化していると答えた人は、この調査が始まって以来初めて半数を切った。これまでは今年6月の70%、7月は67%、8月と9月はそれぞれ69%、10月は60%であったのに対し、今月の調査では49%となった。

 

一方、今後一年、日本の状況がどうなっていくかについて調査したところ、悪化するだろうと感じている人はこれまでで最低の33%、好転すると考えている人は、微増ながら、これまでで最高の18%となった。

 

ただこの2年間のコロナ禍で生活スタイルが大きく変わり、経済活動の自粛や巣ごもりなどの影響で多くの人が疲弊しているからか、さらに言えば、日本では感染者が減っているにもかかわらず、世界ではまだお世辞にも収束しつつあるとは言えない現状3では気をゆるせず、今後一年間の日本が今より良くなると答えた人が約2割なのに対し、悪化すると答えた人が約3割と、まだまだ手放しで楽観できる状況ではない。

 

今後1か月の支出予算の変化

今後1か月の消費予算の変化を調査したところ、コロナの感染状況は日々好転しているのに、予算が増加すると答えた人は18~29歳が8%、30~39歳が13%、40~49歳が10%、50~60歳が11%というふうに消費の拡大傾向はみられない。

 

これに対して予算減少を予想している人は18~29歳が19%、30~39歳が27%、40~49歳が24%、50~60歳が23%となっており、全体でも減少を予想している人は増加を予想している人の約2倍にもおよんでいる。つまり、約7割の人が現状維持を想定しているということである。

支出予算変化を商品カテゴリー別に見ると、外食/娯楽部門は18~29歳では増加予想の人は21%、削減予想の人は11%で、2倍近く差をつけている。他の年代も、外食/娯楽部門をはじめ、家庭用品、旅行でも、全て増加予想の方が多くなっているが、50~60歳代は、わずかながら全てのカテゴリーで減少予想の方が増加予想を上回っている。

 

減少・増加のどちらも想定していない人、つまり現状維持を想定している人の割合は外食・娯楽が約6割、家庭用品が約8割、旅行が約6割となっており、この現状維持を想定する人の割合は過去数か月の調査に比べて多少増えている。過去、支出減少を予想していた人が現状維持想定にシフトしたためと思われる。ここにも感染者数の激減や緊急事態宣言解除のいい影響が出てきているのではなかろうか。

 

ただ、今回思ったほど予算の増加を予想している人が多くないのは、時節柄、この調査の2か月後にはクリスマス、冬休み、年末年始、帰省など消費が増える大型イベントが連続で控えており、それに向けて現在消費を抑制しているからとも言えるし、円安、石油・輸入品値上げ、デフレ、購買力低下4などが原因で、国民一人一人の経済的体力が著しく低下してきたからとも言える。

 

年の瀬や年末年始の様々な娯楽・イベント・旅行などにお金を使うため、今後1か月は我慢して現状維持で推移するのか、或いは先行き不安のため今年の年末もこのまま消費が増加せず、クリスマスプレゼントや正月用品などを買い控えたり、旅行や忘年会やパーティなどを取りやめたりするのか、注意深く消費趨勢を観察し続ける必要がある。

 

衆議院選挙2021の主な争点

10月31日に衆議院議員選挙の投開票が行われた。新型コロナウイルスの感染拡大後、初めての全国規模の国政選挙であり、マスコミは立憲民主党と共産党の閣外協力や野党の候補者一本化を大きく取り扱ったが、国民の関心は何と言っても、コロナの感染対策やコロナ禍でダメージを受けた経済や暮らしの立て直し、経済的支援であった。

男女別に見ると、コロナ感染対策の次に経済・成長戦略に関心が高かった男性に対し、女性はコロナ経済・補償対策が2番目に高いという結果が出た。

 

ジェンダーフリーの考え方が徐々に浸透してきているのはわかっているが、敢えてステレオタイプに分析すると、会社の仕事やビジネス、商売に重点を置く男性が経済・成長戦略に関心を示し、家計を預かる主婦としては日常生活に必要なものの値段や、休業要請に応えた場合の補償、子供の教育費の補償などに目が向いた結果ではなかろうか。

 

外交・安全保障については、北京の冬季五輪に日本が参加すべきかどうか、尖閣諸島に中国船が不法侵入している件、新疆ウイグル・ホンコンの人権問題、韓国警察庁長官の竹島上陸問題など、喫緊の重要課題が山積してはいるものの、我々に直接影響を与えるものではないし、直接目に触れるものではないという誤解から、どうも関心が薄いようである。

 

森友問題の再調査について、今回の選挙でこれを主な公約として掲げたのは大阪5区から無所属で立候補した森友学園前理事長の妻籠池諄子氏5しかなく、ほとんど争点にはならなかったようで、「主な争点」アンケート調査でも最下位の6番目となっている。

 

コロナ禍の現況に対する実感及び衆議院選挙の争点についての調査

調査目的:日本の一般消費者のコロナ禍の現況に対する実感調査

調査対象:18歳~60歳の日本在住インターネット利用者

調査方法:インターネットによる調査

調査期間:2021年11月1日~11月4日

回答数:814人

執筆: 橋本行平

 

 

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