2021-12-15 調査データ

クラウドゲームの実態調査

© Photo Credit:iStock

注目ポイント

コロナ禍の在宅娯楽としてゲーム人気に火がついたが、ゲームの需用性が鈍化しつつある。そういった中、新しいスタイルのゲームとして「クラウドゲーム」が登場した。本アンケート調査では、「クラウドゲーム」の認知度や今後1年間の購入意欲、利用したくない理由などを中心に調査し、データ結果からその理由を分析した結果、「クラウドゲーム」に対する消極性は主に「クラウドゲーム」そのものにあるのではなく、むしろ「ゲーム習慣」の一過性にあるとの分析結果が得られた。

1.  「クラウドゲーム」というゲームを聞いたことがありますか。

クラウドゲームを知っている人は半数弱しかいなかった。

家庭用ゲームやスマホゲーム、PCゲームなどの販売が鈍化しているなか、ゲーム業界は新しいゲームスタイルであるクラウドゲームの普及に注目している。本アンケートでクラウドゲームについての認識度を探ったところ、半数以上の回答者が「クラウドゲーム」を知らなかったという結果を得た。

設問:クラウドゲームについて聞いたことがありますか?(単一選択)

【全回答者では】

1,097名の回答者うち、5割弱(44%)の回答者がクラウドゲームについて何らかの認識があるという結果が得られた。このうち1割弱(13%)の回答者は、「クラウドゲーム情報にも注目している」と答えた。残りの約3割(31%)の回答者は、「クラウドゲームに対する理解度は低いものの、クラウドゲームという名称だけは聞いたことがある」と答えた。

 

「クラウドゲームという名称を聞いたことがない」と回答した人は、約6割(56%)であった。このうち約1割(9%)の回答者は、「聞いたことがないものの、クラウドゲームについてもっと知りたい」と答えた。残りの約5割(47%)の回答者は、「クラウドゲームという名称を聞いたこともないし、それ以上知りたいとも思わない」と答えた。

 

【男女別では】

男女別からみれば、男性回答者の約半数(53%)がクラウドゲームについて何らかの認識があるという結果が得られた。そのうち約2割(17%)がクラウドゲームに積極的な興味を示し、残りの約4割(36%)が名称だけの認識にとどまっている。

一方、クラウドゲームについて認識のある女性回答者は約4割(36%)にとどまり、積極的な興味を示したのは1割(10%)しかいなかった。

 

クラウドゲームの認知度について男女別における違いは、男性のクラウドゲームの認知度が女性のそれより高く、半数以上となっていることである。またクラウドゲームに対する積極的な興味については、男性は女性の約2倍という結果が得られた。これは、ゲームに対する性別嗜好が大きく影響しているものと見られる。

 

【家庭用ゲーム機保有別にみると】

クラウドゲームについての認知度調査では、家庭用ゲーム機の保有者のクラウドゲームに対する認知度は約6割(61%)まで達したのに比べ、非保有者の認知度は約3割(29%)にとどまった。これは、もうすでに家庭用ゲーム機を保持している人の方が保持していない人よりもゲームに対する興味が高いと言ってもよい。

 

2.  クラウドゲームの購入意欲調査

9割近くの人はクラウドゲームの購入する予定がない

設問:今後1年間で、クラウドゲームの購入意欲があると思いますか(単一選択)

【全回答者では】

全回答者の約9割(87%)が今後1年間においてクラウドゲームを購入する考えがないと回答した。一方、購入意向がある者は約1割(13%)しかいなかった。そのうち「絶対的な購入意欲」を示した者は2%で、残り11%については「絶対的ではないものの購入意欲を示す」という結果となった。

 

【男女別では】

男性回答者の約2割(17%)が今後1年間において、クラウドゲームの購入を検討しているが、女性回答者については男性回答者の半数(1割)が購入を検討していると回答した。

 

結論から言うと、「男女別の購入意欲」で示された差異は、クラウドゲームの認知度についてもほぼ同じ数値が得られたため、ゲームに対する性別的な嗜好といえる。

 

【家庭用ゲーム機保有別にみると】

家庭用ゲーム機の保有者の今後1年間に見る購入意欲については約2割(23%)で、非保有者の購入意欲は1割弱(5%)となった。

 

3.  クラウドゲームを利用したくない理由

1と2で、全体的にクラウドゲームについて消極的なデータを得た。ここでは、その理由を探るべく「クラウドゲームを利用したくない理由」を調査したところ、約6割が「ゲームの習慣がないから」、約3割が「すでに家庭用ゲーム機があるから」という結果が得られた。

設問:今後の1年間で、クラウドゲームを利用したいと思わない理由は何ですか(複数選択可)

クラウドゲームを利用したくない理由で最も多かったのが、「もともとゲームの習慣がない」で約6割(63%)、次に「既に家庭用ゲーム機があるのでクラウドゲームの購入が必要ない」が約3割(25%)となった。その他2割以下ではあるが、「クラウドゲームはまだ未熟だから」、「5Gでは不十分だと思うから」など、クラウドゲーム環境の未成熟を理由とする回答もあった。

 

クラウドゲームは、家庭用ゲーム機器の購入なども要らず、デバイス性能のハードルも低いと言われているが、依然としてまだ開発段階にある。例を挙げると、ラグや遅延を発生させないため、高速で大容量のデータ通信が必要であったり、各社によってデバイスやコントローラーの制限も存在する。

 

既存のゲーム需要が鈍化するなか、ゲーム業界ではクラウドゲームという新しいゲームスタイルによって、新たなゲーム需要の拡大に期待している。そのためにはまず、上の問題を解決する必要があると考えられる。

 

クラウドゲームに消極的な理由は、技術面の未発達についての不安よりも、それほどゲームが習慣化していないことが主な理由であると考えられる。

 

コロナで在宅時間が増えた結果、これまでゲームをしたことがなかった人もゲームをするようになったが、まだまだ習慣化しているというわけではない。クラウドゲームの普及には、如何にしてゲームが日常生活で習慣化できるかがカギとなっている。

 

4.  注目のクラウドゲーム

 最も注目されているクラウドゲームは「PS Now」

クラウドゲームの認識がある人で「PS Now」を知っている人は約7割で圧倒的1位を誇った。次にゲームスタジアム閉鎖中の「Google Stadia」が3割となった。

設問:以下でどのクラウドゲームを聞いたことがありますか(複数選択可)

クラウドゲームに関して聞いたことがある人の7割以上(74%)は、「SONY PlayStation Now」を知り、認知度が圧倒的にNo.1となっている。次いで、「Google Stadia」が3割(30%)、「Xbox Cloud Gaming」が約2割(23%)、「NVIDIA GeForce Now」が約2割(18%)、「Amazon Luna」が約2割(16%)、「Gamestream」が約1割(12%)の順となった。

 

略称「PS Now」として知られている「SONY PlayStation Now」は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が提供するクラウド型ゲームサービスで、2015年より北米地区からPS4を対象として正式サービスを開始し、イギリス、欧州、日本とサービスを展開した。ダウンロードでもストリーミングでもゲームができ、400タイトル以上のゲームが遊び放題で、日本で圧倒的認知度を誇っている。

 

2位の「Google Stadia」は、Google社が提供するクラウド型ゲーム提供サービスで、「Youtube」との連携や「GoogleChrome」でプレイできたりなど手軽さが売りであったが、遅延、画質低下、料金体系などの問題が発生し、2021年2月2日に社内のゲームスタジオ閉鎖を発表しただけでなく、「Google Stadia」のゲーム開発も中止になった。

 

それにもかかわらず、本調査で認知度が第2位となったことから、Google社のサービスに対して日本人ゲーマーが高い期待を寄せているためと思われる。そのため、上の問題を修正することが、「Google Stadia」のクラウドゲーム市場における需要のカギとなる。

 

3位の「Xbox Cloud Gaming」は、米Microsoft社が提供するクラウド型ゲームで、日本では2021年10月1日からサービスの提供が始まりました。100以上のタイトルが揃っているうえ、Windows搭載PCやAndroid端末、iPhoneやiPadで楽しめるなど、デバイスの制限が緩いことが大きなメリットだ。

 

【機種別所有者による認知度】

全体的にXBOX所有者のクラウドゲームへの関心が高い傾向となっている。一部の調査報告では、日本のゲーマーは他国に比べて複数のデバイスでプレイすることが多いという結果が出ている。

 

XBOXは他のゲームよりクロスデバイスに柔軟的な対応ができることがセールスポイントであるため、XBOXのゲーマーも色々なゲームに対して開放的な態度を見せているためと考えられる。

 

5.  クラウドゲームの購入で重視している項目

クラウドゲームを選ぶとき、コンテンツや質を重要している

ゲーマーがクラウドゲームに求めているのは、「お得さ」よりも「コンテンツや質」を重視していることが分かった。

設問:クラウドゲームの選択で、以下の事項をどの程度重視しますか(単一選択)

クラウドゲームを選ぶ際に最も重視する項目は、「好きなゲームがある」及び「ゲームの動作がスムーズ」がそれぞれ92%を占め、圧倒的1位を誇った。次に「ゲーム種類が豊富」が89%を、「コスパがいい」が86%を占めた。

 

ゲーマーがクラウドゲームの購入で重視する点は、コスパやゲームの種類が多いなどの「お得さ」よりも「コンテンツ重視」、ゲームをしているとき遅延なくスムーズな動作ができるかなど、「ゲームの質」を求めていることが分かった。

 

これは、まだクラウドゲームの認知度がまだまだ低い中で、当然のことながらクラウドゲームに注目している人は持続的なゲーム習慣を持っているゲーマーであるため、「お得さ」よりも「ゲームの水準そのもの」を重視するためと思われる。

 

調査名称:【コロナ禍】クラウドゲームについての実態調査

調査対象者:16 ~ 60 歳の日本国民

調査地域:全国

調査時期:2021 年 10 月 1 日~ 10 月 5 日(5日間)

サンプル数:1,097人

著者:庄司恵子

 

あわせて読みたい