2022-03-18

原子力発電・天然ガス事業を環境に優しい「グリーン投資」に含めるEUの計画に加盟国では賛否両論

© RUTERS/TPGImages

 

欧州委員会が立案した分類法案によると、原子力発電所が環境と経済に重大なリスクを与えないことが保証され、核廃棄物の安全な処分を確保することが出来れば、原子力発電所は「持続可能」と考えることができ、2045年までに建設許可を得ている全ての原子力施設に適用される。

原子力エネルギーが環境に優しいかどうかは、国際的に多くの議論を呼んでいるが、欧州委員会は今月中にこの問題に関する規制を提案する予定である。一部の天然ガスと原子力を「グリーン投資」と位置づけ、再生可能エネルギーに基づく未来への移行を支援する手段と見なす提案だ。

もし、EU加盟国の半数がこの提案を支持すれば、来年(2023年)から法制化される予定だ。フランスとチェコは一連の動きを支持したが、ドイツは「完全に間違っている」としている。

天然ガスと原子力をEUの「持続可能な金属分類法」に含めることは「グリーン投資」の表記を得るために満たすべき環境基準である。この動きは、持続可能なエネルギー投資を推進し、企業が「グリーンウォッシュ」、環境保護に対する誇張と虚偽の主張を防ぐことを目的としている。

欧州委員会は、これらのエネルギー源を明確かつ厳格な条件の下で分類すると述べた。「ロイター通信」によると、原子力発電所に関連する投資は、放射性廃棄物を安全に処理し、資金、場所を確保して2045年までに建設許可を取得することで、グリーン投資と表示することが出来るという。

天然ガス発電所への投資については、CO2排出量が(kWh)270g以下であることを遵守すること、汚染がひどい化石燃料発電にとって代わるか、2030年12月31日までに建設許可を取得し、2035年末までに低炭素ガスへの切り替えを計画していることがグリーン投資マーク取得の条件である。

その後、EU各国と専門家グループによる精査を経て、1月下旬に正式に発表される予定だが、内容の調整が行われる可能性もある。もし、EU加盟国の過半数がこの提案を支持すれば、2023年から法律が制定される。

欧州委員会によると、今日のヨーロッパの既存のエネルギー構造は加盟国によって異なり、一部地域では、依然として炭素排出量の多い石炭に大きく依存している。この分類法は、加盟国がエネルギーに関する異なる立場から、クライメイト・ニュートラル(気候中立)に向けて共に歩むための方法である。

欧州委員会は科学的なアドバイスと現在の技術進歩、そして加盟国間の異なる課題を考慮して、天然ガスと原子力は再生可能エネルギーに基づいた未来への移行を促進する手段として機能できると考えている、と表明した。その一方で、天然ガスと原子力は依然として「過度性」のエネルギーであるとも強調。なぜなら、それらは永遠に持続するものではなく、排出量が平均より低いだけだからだ。

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