2021-12-15 調査データ

コロナ禍の現状に対する実感調査

© Photo Credit:iStock

注目ポイント

ワクチン2回接種済みの割合が7割近く1にまで達し、各種感染対策も徐々に徹底し始めた9月上旬から全国の感染者数は急減し2、9月30日には全都道府県で緊急事態宣言が解除された。しかしイベントや飲食業など日常生活における制限の要請はその後も続き、結局、自粛制限や飲酒に関する制限などが緩和されたのは、この調査が行われた数週間後の10月25日以降3になる。ただ、感染者数の急速な減少により、国民の間に多少なりとも明るい兆候が見え始めたことは確かである。このようなコロナ禍の状況のもと、現状に対する様々な実感を洞察するために本調査が行われた。

© 2020年1月から2021年9月までの新型コロナ新規感染者数の推移(厚生労働省オープンデータより筆者作成)

日本国民の現況に対する実感

2020年は日本での感染者の絶対数こそ少なかったものの、コロナが世界的なパンデミックとなり、国によっては信じられないほど多数の死者を出すまでに至ったコロナ禍の中で、国民は先行きの見えない不安や閉塞感を感じていた。

 

そのため過去一年間の日本の状況が悪化していたと見る人の割合は、10月調査では前月比で約10ポイント減少したがそれでも60%、最高は今年5月調査の75%にものぼった。一方、過去一年を肯定的にとらえた人は5月調査の1%から10月調査の4%まで極めて少なく、この結果は妥当であると言える。

 

これに対して、今後一年が好転するだろうと答えた人の割合は8月調査から増え始め、9月調査では10%、今回の調査では16%もの人が明るい見通しを持っていることがわかる。また同じく10月調査で「悪化する」と答えた人は37%で、初めて4割以下となり回復の兆しがみられる。

 

従来株のコロナウィルスに対してのワクチン接種率は世界でもトップクラス4の7割近くにのぼり、マスク着用の徹底、国民の自粛制限への協力、デルタ株など新種の変異型ウィルスの脅威が想定以上のものではなかったことなどの理由で、「好転する」と答えた人が増え、その結果必然的に「悪化する」と感じている人はこの調査が始まって以来最低の37%に減ったものと思われる。そして何よりもこの好転予想の一番の理由は、今回の調査直前に緊急事態宣言が解除されたことと考えてよいだろう。

今後1か月の支出予算の変化

今後一ヵ月の支出予算がどのように変化するかについて尋ねたところ、年代を問わず13~14%の人が予算は増加すると答えたが、同時にその約2倍の25~28%の人が予算減少を予想している。毎回の調査で同じ質問をしているが、コロナ禍にあってはステイホームや営業自粛、各種イベントの中止や三密回避などなど、マイナスの要因しか見当たらず、支出が減少すると予想する人の方が、増加すると予想する人より多いことは容易に想像できた。

 

しかし今回感染者数が激減し、緊急事態宣言も解除され、街も日常を取り戻しつつある中でのアンケート調査の結果、これまでと同様、全ての年代で約2倍の差をつけて消費減少予想が増加予想を上回るのは想定外の結果である。その理由・背景はもはやコロナだけではないであろうと想像される。

 

日本は未だデフレから完全に脱却しておらず、国民の所得が増えない状況下で買い控える人も多く、消費が頭打ちの最中にコロナによる大ダメージを受け、ますます消費にブレーキがかかった。将来、政府が掲げる「成長と分配」政策によって所得が増え、デフレからの脱却と同時にコロナも収束していれば健全なインフレのもとで消費も順調に増えていくだろうと思われる。

 

デフレからインフレに転じ、購買意欲がマイナスからプラスに転じる要因として、「成長と分配」政策の成功とコロナ収束とどちらが先かわからないが、この「今後1か月の支出予算」の調査結果が減少予想にあるのはコロナだけが原因ではないと考えられる。

消費予算の予想をカテゴリー別にみると、キッチン用品、掃除、トイレ用品など、日常生活において必需品である家庭用品のみ、16~29歳では予算削減が3%に対して予算増加は9%、30~39歳では削減8%に対して増加12%、40~49歳では削減5%に対して増加7%、50~60歳では削減5%に対して増加10%となっており、全世代で増加を想定している人が減少を想定している人を上回った。

 

アルコール飲料とパッケージ食品は逆に、僅差ではあるが、全世代で削減予想の方が増加予想を上回っている。しかしその差はだんだん縮まってきており、コロナ禍での消費動向は大きな変化は見られない。

関心のある投資先・年代別調査

今回は年代別にどのような投資先に興味があるか調査した。最も多かったのがETFを含む株式投資で26%、続いて投資信託に興味があると答えた人が、18%、その他、外資、債券、保険などという順になっており、株式(含ETF)、投資信託、外資、債券、不動産、先物取引の多岐に亘る分野で30歳代が多世代よりも多くの人が関心を持っていることがわかる。

株式投資に関心がある人の中では、短期売買より長期投資に興味がある人の方が多い。30~39歳で長期投資26%に対して短期売買は8%、40~49歳では長期投資27%に対して短期売買は7%となっている。これは、多くの人が将来的な資産形成を目的として株式投資をしていることが背景にあると思われる。

 

また、株式投資において損失が出た場合、どの程度まで耐えられるかを調査したところ、平均は29.9%、年代別に見ると、20歳代で27.8%、30歳代37%、40歳代27.9%、50歳~60歳で26.8%となっており、特に30歳代のリスク許容度が最も多くなっている。

コロナ禍の現況に対する実感調査

調査対象者:16歳~60歳の日本在住インターネット利用者

調査方法:インターネットによる調査

調査期間:2021年10月1日~10月5日

回答数:1097人

執筆: 橋本行平

 

 

 

あわせて読みたい