2022-03-16 経済

「ゼロコロナ」政策の中国で相次ぐクラスター 都市閉鎖相次ぎ20年初頭の武漢に逆戻り

© Photo Credit: Reuters / 達志影像 Jilin province

新型コロナウイルスの対応をめぐり、期限が21日に迫る蔓延(まんえん)防止等重点措置について、政府は大阪府を除く17都道府県で解除する方針を固めた。大阪府については今日にも解除の可否を決める。国内の新規感染者は依然1日2万人を超えるなど高いものの、「第6波」のピークアウトは顕著で、重症者の病床使用率も基準を下回った。

オミクロン株の感染爆発が日本より早かった欧米諸国はすでにピークを越え、ほぼ全ての規制が解かれて日常生活が戻っている。そんな「ウィズ・コロナ」とは対照的に、いまだ「ゼロコロナ」政策を継続する中国は、ここにきて2020年初頭に武漢でコロナ禍が始まった時期と同様の事態に陥っている。

米ABCニュースによると、人口2400万人の中国東北部・吉林省や、同1750万人の香港に隣接する深圳市、同1000万人の広東省東莞(とうかん)市は、事実上の都市封鎖(ロックダウン)を導入している。

中国全土での新規感染者は14日に1437人で、この1週間で4倍に急増。その〝震源地〟が895人の新規感染者が報告された吉林省だという。同省全体のロックダウンは20年1月、武漢のある湖北省が都市封鎖されて以来となった。

深圳については、中国政府は13日に7日間のロックダウンを宣言。住民に3回のPCR検査を義務付け、全ての公共交通機関と商業施設は必要不可欠なサービスを除き20日まで閉鎖された。

その影響で、米アップルの電子機器の生産を請け負う鴻海科技集団(フォックスコン)の工場も操業停止となり、生産ラインを別の工場に移すことを余儀なくされるなど、〝中国のシリコンバレー〟と呼ばれる深圳でのロックダウンは、ハイテク産業に痛手となっている。同市はまた、中国の通信機器大手ファーウェイやIT投資持株会社テンセントの本社があり、さらに中国有数の港でもあることから影響は大きい。

一方、深圳の隣にある香港もオミクロン株による大規模な感染爆発に苦慮している。14日には1日の新規感染者が2万6908人に上り、死者286人が報告された。ABCニュースは、香港のコロナ感染による死亡率は先進国の中で最も高く、その理由はワクチン接種の遅れが大きいと分析した。

そのため、香港ではソーシャルディスタンスが厳格化され、地区間の移動も制限されている。多くの商業施設は4月下旬まで閉鎖が続くという。

香港中文大学のマイケル・ソン教授は、20年の武漢での2か月間にわたるロックダウンによる経済損失は、中国GDPの2%に相当したと説明。だが、今回の都市閉鎖は比較的期間も短いことから香港大学のヘイワイ・タン教授は、大きな損失にはつながらないとは指摘。「ただ、ロックダウンが延長となればインフレリスクも含め、話は別だ」と述べた。

そのため、中国政府の「ゼロコロナ」政策の現場である自治体の取り組みは必死だ。地元メディアによると、クラスターが発生した責任を問われ、吉林省吉林市の市長と同省長春市の保健当局の責任者は先週末に解任された。

上海にある復旦大学附属華山医院感染科の張文宏教授は、中国での新型コロナウイルスによるパンデミックの再燃は「この2年間のコロナ対策で最も困難な時期に来ている」と警戒感を強めている。

 

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