注目ポイント
8月下旬に第5波のピークを迎え、全国の感染者数が2万5千人近くまで増加したが今回の調査が始まった9月3日には1万6千人に、そして調査最終日の9月6日には8千人台まで半減した。しかし緊急事態宣言解除の検討はまだ始まっておらず、第5波がこのまま収束に向かうのか、それとも感染者数などの減少は一時的なもので、またぶり返すのか、国民に大きな不安が残る中、現況に対する実感、また、コロナワクチンに対する意識について調査した。今回はコロナワクチン未接種の人の理由も調査した。

© NHK
日本国民の現況に対する実感
去年初頭に始まったコロナ禍だが、第4波までは感染者数が1万人を超えることはなかったものの、一旦減少してはまた感染が拡大するの繰り返しで、様々な自粛生活も相まって国民はかなり閉塞感を感じていた2。
過去一年間の実感調査でも5月調査から今回の9月調査まで「好転している」と感じている人は1~2%、「悪化している」と感じている人は7割前後もあり、悲観的な見方が大勢を占めていた。
7月下旬から感染が急拡大、第5波が始まり、8月13日には初めて全国の感染者数が2万人を超えた。8月2日には緊急事態線がふたたび発出された3。このことから、今後一年間の日本の状況に対しては非常に悲観的に思う人が増加すると予想されたが、今回の調査が始まったとほぼ同時に感染者数が減り始め、9月3日から6日までのたった3日間で約1万6千人から8千人台まで減った。
従来株のコロナウィルスに対してはワクチン接種を済ませた割合が増えつつあるが、新たにデルタ株など、新種の変異型ウィルスにワクチンがどれほど効果があるのかいまだに不安に感じている人が多いので楽観視する人は少ないだろうと思われた。
しかし9月に入って感染者数が減少し始め、それとともにワクチンも安定的に普及してきた結果、今回の調査で悪化すると答えた人は前回の55.0%から51.3%に減少、一方好転すると答えた人は前回の9.3%から10.1%と増加に転じた。

コロナワクチン接種に対する意識
ワクチン接種に対して期待している人の割合はこの調査を始めた今年5月の40.1%から今回調査の57.8%へと2割近くも増えた。これは自分の周りの人がどんどんワクチンを打ち始め、尚且つ、接種の手続きも方法も徐々に整い、ワクチンを接種しやすくなってきたことが大きな原因の一つと考えられる。
それに加えてPCR検査陰性証明とワクチン接種済み証明があれば飲食や旅行などで優遇されるのではないかという議論も始まっている。もっともこの「ワクチンパスポート」の取り扱いに関しては不公平感や差別など色々問題があることから実現には慎重であるべきという意見も多い。
男女別にみると女性62.3%、男性53.4%というふうに女性の方が男性よりも10ポイント近く多くなっている。これは健康に対する意識が男女間で違うのが原因ではないかと思われる。
年齢別にみると、年齢が上がるにつれ期待感が高まる傾向に変わりはないが、18歳~29歳の若年層においても8月の39.8%から今回の47.7%と、期待感はやはり高まっているのが見て取れる。50歳~60歳もワクチン接種に関する期待感が前回の64.7%から69.6%に増えている。
