2022-03-15 経済

台湾を軍事支援する国には「最悪の結末」を 強硬姿勢増す中国が豪州などの介入を牽制

© Photo Credit: Reuters / 達志影像 Peter Dutton

ロシアのウクライナ侵攻を機に、中国が台湾や周辺国に対する強硬姿勢を一段と鮮明にしている。中国政府は12日、台湾を軍事支援する国は「最悪の結末を迎える」とし、中国共産党の台湾への対応は「いかなる国も、軍事力も止めることはできない」と警告した。これはオーストラリアとの関係修復のための外交交渉が行われた翌日に発表したもので、同国を牽制したものだ。

オーストラリアのダットン国防相は、中国が台湾を武力制圧することを豪州は「全力で抑止する」と発言。これに対して中国側は、ダットン氏の発言は「思想的偏向」だとし、「いかなる国も、軍事力も」中国が台湾を統治することを止めることはできないと威嚇したのだ。

ダットン氏は13日に豪ABCのニュース番組「インサイダーズ」に出演した際も、「全力で抑止する」と繰り返したが、この発言自体、以前のものからトーンダウンしたものだった。実は昨年、ダットン氏は台湾有事の際、「オーストラリア軍が米軍と共に台湾防衛に参加しないことは考えられない」と強気の発言をしていたのだ。

ところが同番組で、台湾有事にオーストラリア軍が軍事作戦に参加するのかと問われたダットン氏は、「わが国の国益に関わるいかなる紛争や紛争の脅威にも注視する。政府の仕事はオ―ストラリアの安全を確保することだ」と言葉を濁した。

これは大国ロシアによるウクライナ侵攻という、これまでの世界秩序を脅かす「力による現状変更」が起きたことで、中国による台湾への〝武力統一〟の現実味が一気に高まり、ダットン氏の発言が慎重にならざるを得なったものとみられる。

実際、このところ中国は台湾への軍事圧力を強め、昨年暮れにからは記録的な数の戦闘機を台湾の防空識別圏に侵入させている。ロシアがウクライナへの攻撃を始めた先月24日には、中国の軍用機9機が防空識別圏を侵犯し、台湾軍機が緊急発進した。

ウクライナ情勢も背景にあり、台湾政府は今年度、弾道弾迎撃ミサイルの製造を倍増することを決定。これは向こう5年間の防衛予算を86億ドル(約1兆円)追加する法案が立法院(台湾の国会)で可決したことを受け、国防省が発表したものだ。

だが、中国と軍事費比較すると、ロシアとウクライナのそれと似た構図だ。FOXニュースによると、中国の年間軍事予算は増強の一途をたどり、今や2500億ドル(約29兆5000億円)以上に上り、台湾の130億ドル(約1兆5000億円)と比べると20倍近い。

そんな中国の習近平主席は先週、全国人民代表大会に合わせ、人民解放軍や武装警察の幹部らを前に演説にし、「戦争の準備を整える」よう伝え、「軍全体が戦争の準備をしっかり、かつ速やかに整える」よう指示し、好戦的な姿勢を内外に示した。

これは内モンゴル自治区で相次いだ抗議活動や、新疆ウイグル自治区を巡る問題を念頭に置いたものとみられる。ただ、「多様な突発事案に対処し、国家の安全と安定を守らなければならない」とも発言し、台湾を含む西側との関係悪化への対応を示唆した。

一方、オーストラリアも国防への切迫感が増している。ダットン氏はAUKUSと呼ばれる豪州、米国、英国3か国による軍事同盟や、豪、米、英、ニュージーランド、カナダ5か国の諜報機関が情報共有するUKUSA協定、日米豪印戦略対話(クワッド)などを挙げ、「第2次世界大戦以来、初めてわれわれは国土防衛について、さまざまな方法を検討している」と指摘した。

その上で、「国防についてオーストラリアがこのような議論をすることは、5年前には考えられなかったことだ。だが、これが現実だ」と危機感を表した。

 

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