2022-03-14 経済

ウクライナ戦争で核兵器使用の恐怖高まるも プーチン氏だけではボタン押せない訳とは…

© Photo Credit: Reuters / 達志影像 Sergei Shoigu

激化するロシア軍の攻撃に耐え続けるウクライナに、いら立ちを隠せないウラジーミル・プーチン露大統領(69)が、核兵器を使用する可能性はあるのか? 西側は「現実的にあり得る」として警戒感を最大限に強めている。では、ロシアの核爆弾は実際に誰がボタンを押すのか。インドの大手ニュースチャンネル「CRUX」は、プーチン氏だけでは核ミサイル発射の命令ができないことを明かし、その理由について解説した。

プーチン氏はウクライナ侵攻が始まった先月24日の3日後、国防相らに対して核抑止力部隊を厳戒態勢に移行するよう命じた。具体的にはロシア戦略ロケット軍、北方艦隊、太平洋艦隊、長距離空軍が対象となった。専門家によると、この「厳戒態勢」は攻撃準備の最終段階に入る一つ前のステップ。最終段階になるとミサイルに核弾頭が搭載され、スタンバイ状態になる。

だが、核ミサイルの発射命令はプーチン氏のみでは出来ず、ほかに側近2人のうち1人の合意が必要となるという。その2人とは、セルゲイ・ショイグ国防相(66)とロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長(66)だ。

核兵器使用には、暗証番号が組み込まれたブリーフケースが2個存在し、両方がそろわないと〝核のボタン〟を押すことが出来ない。ブリーフケースの1つはプーチン氏の手元にあり、片方は国防相か参謀総長が管理しているとされる。ロシア戦略ロケット軍の元参謀ボリス・ソロヴィヨフ少将によると、これは核兵器を使用する上で、「重大なエラーを未然に防ぐためのセーフガード」だと説明した。

その文字通り〝鍵を握る〟ショイグ氏とゲラシモフ氏とは一体どういう人物なのか。

プーチン氏の側近中の側近とされるショイグ氏は、旧ソ連が解体され新生ロシアが誕生した1991年当初から国務大臣を務め、国内では最も人気のある政治家とされる。CRUXによると、12年から国防相を務め、今回のウクライナ侵攻で中心的役割を担っているとされ、14年のクリミア併合も指揮。「プーチンの後継者」ともささやかれている。

一方、ゲラシモフ氏は旧ソ連時代からの軍人で、戦車連隊や沿バルト軍管区など各地の管区で参謀長や司令官を務めた。12年に現職であるロシア軍のトップに上り詰め、国防相に次ぐ副大臣でもある。シリアでの軍事作戦の功績が高く評価され、プーチン氏からロシア連邦英雄賞を授与された。

また、軍事、技術、情報、外交、経済、文化など総合的に戦術を組み合わせる「ゲラシモフ・ドクトリン」を提唱し、ロシア随一の戦略家としても知られる。

万が一、プーチン氏が核兵器使用という〝悪魔の決断〟をしたとしても、手続き上はこの2人のうち、どちらかの合意が必要となる。プーチン氏の内部サークルは、すでに絶対服従の側近だけで固められた独裁体制が敷かれているとされるが、最終段階で抗えるのはこの2人になる。

では、核のボタンが押された場合のシナリオについて同ニュースチャンネルは軍事専門家の見立てとして、ロシアが使用するのは被害が限定的になる戦術核兵器だと推測する。これは戦場単位で通常兵器の延長線上での使用を想定した核兵器だ。その戦術核をロシアは1000発以上保有している。

長崎大学核兵器廃絶センターによると、昨年6月1日時点で世界に存在する核弾頭の総数は1万3000発で、その90%以上を米露が保有している。ロシアは6260発で米国が5550発。大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、また、爆撃機など航空機搭載用のものなども含まれる。

やがて追い詰められたプーチン氏が、最も愚かな判断を下すことを世界は恐れている。

 

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