2021-12-23 調査データ

資産形成と電子金融取引についての調査

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注目ポイント

コロナ禍での資産形成のあり方

1.コロナ禍であなたは貯蓄と投資とどちらを選ぶ?

約半数の人がリスクのない貯蓄を志向

設問:毎月の所得から生活費(食費/交通費/その他家計費/娯楽費)を控除した後、「貯蓄」及び「投資」の割合はおよそどのくらいですか。次の中からひとつだけお答えください。

1-1.全回答者の貯蓄と投資の割合

「投資よりも貯蓄が多い」が53.6%で最も多く、続いて「貯蓄も投資もしない」が32.3%、「投資のほうが貯蓄よりも多い」が9.5%、「貯蓄と投資が同額」が4.7%となった。

 

1-2.性別ごとの貯蓄と投資の割合

男性

「投資よりも貯蓄が多い」が49.4%で最も多く、続いて「貯蓄も投資もしない」が32.1%、「投資のほうが貯蓄よりも多い」が12.6%、「投資と貯蓄が同額」が5.8%となった。男性の「投資よりも貯蓄が多い」は、全体より4.2%低く「貯蓄も投資もしない」も、全体より0.1%低かった。「投資のほうが貯蓄よりも多い」は、全体より3.1%高く、「投資と貯蓄が同額」も、1.1%高かった。

 

女性

「投資よりも貯蓄が多い」が57.8%で最も多く、続いて「貯蓄も投資もしない」が32.2%、「投資のほうが貯蓄よりも多い」が6.4%、「投資と貯蓄が同額」が3.6%となった。女性の「投資よりも貯蓄が多い」は、全体より4.2%高く、「貯蓄も投資もしない」は、全体と変わらなかった。「投資よりも貯蓄が多い」は、全体より3.1%低く、「投資と貯蓄が同額」も1.1%低かった。

 

1-3.年齢ごとの貯蓄と投資の割合

18~29歳

「投資よりも貯蓄が多い」が52.3%で最も多く、続いて「貯蓄も投資もしない」が38.0%、「投資のほうが貯蓄よりも多い」が6.2%、「投資と貯蓄が同額」が3.5%となった。18~29歳の貯蓄派「投資よりも貯蓄が多い」は、全体より1.3%低く、「貯蓄も投資もしない」は、全体より5.8%高かった。「投資のほうが貯蓄よりも多い」は、全体より3.3%低く、「投資と貯蓄が同額」も、1.2%低かった。

 

30~39歳

「投資よりも貯蓄が多い」が55.4%で最も多く、続いて「貯蓄も投資もしない」が29.3%、「投資のほうが貯蓄よりも多い」が9.9%、「投資と貯蓄が同額」が5.5%となった。30~39歳の「投資よりも貯蓄が多い」は、全体より1.8%高く、「貯蓄も投資もしない」は、全体より2.9%低かった。「投資のほうが貯蓄よりも多い」は、全体より0.4%高く、「投資と貯蓄が同額」も、0.8%高かった。

 

40~49歳

「投資よりも貯蓄が多い」が55.3%で最も多く、続いて「貯蓄も投資もしない」が28.0%、「投資のほうが貯蓄よりも多い」が11.6%、「投資と貯蓄が同額」が5.1%となった。40~49歳の「投資よりも貯蓄が多い」は、全体より1.7%高く、「貯蓄も投資もしない」は、全体より4.2%低かった。「投資のほうが貯蓄よりも多い」は、全体より2.1%高く、「投資と貯蓄が同額」も、0.4%高かった。

 

50~60歳

「投資よりも貯蓄が多い」が51.4%で最も多く、続いて「貯蓄も投資もしない」が34.0%、「投資のほうが貯蓄よりも多い」が9.9%、「投資と貯蓄が同額」が4.7%となった。50~60歳の「投資よりも貯蓄が多い」は、全体より2.2%低く、「貯蓄も投資もしない」は、全体より1.8%高かった。「投資のほうが貯蓄よりも多い」は、全体より0.4%高く、「投資と貯蓄が同額」は変わらなかった。

 

2.分析&所見

全回答者で「投資よりも貯蓄が多い」と回答した人が過半数を占めており、リスクを取らず、安全確実な資産形成を志向する傾向にある。一方で、全体の約3割は、貯蓄も投資もしていなかった。

 

性別ごとでは、女性の方が男性よりもやや安定志向で、6割近くの女性が投資よりも貯蓄を好んでいる。また、投資に積極的な女性の割合は、男性のほほ半数の約6%と非常に少数派となっている。

 

年代別に見ると、「貯蓄も投資もしていない」と回答している割合が18~29歳の世代で約4割(38%)と若干高い傾向にある。これは、2019年の金融広報中央委員会の調査で20代単身者の約5割(45.2%)が貯蓄していなかったのに比べると、コロナ禍で若い世代の貯蓄意識が高まったと言える。

 

この10年間、無人店舗やスマートフォンアプリなどで気軽にお金が借りられるようになり、心理的にも制度的にも借り入れのハードルが下がったが、コロナ禍で貯金の有無が生活を変える結果となり、若い人たちの警鐘を鳴らしたと考えられる。

 

30~49歳は、「投資よりも貯蓄が多い」の回答率が高く、「貯蓄も投資もしていない」の割合が最も低かった。この世代は就学時期の子供がいるファミリー世代で、住宅ローンを借りていたり、子どもの学費納入があったりするため、貯蓄意識が高いと言える。

50~60歳になると子供も独立し、家計の負担も減るためか、「投資よりも貯蓄が多い」が低くなり、「貯蓄も投資もしていない」の割合が34.0%と高くなるが、「投資のほうが貯蓄よりも多い」が9.9%と高めなので、貯蓄を投資に回していることになる。

 

3.コロナ禍で投資意欲はどう変わったのか

全体を通して投資意欲が増進、特に30代の投資意欲が旺盛

設問:新型コロナウイルス(COVID-19)の現状は、あなたの投資意欲に影響を与えましたか。(一つのみ選択)

3-1.全回答者

全回答者で、24.4%の人が、「増進した」と回答した。一方で、14.4%の人は、「減退した」と回答した。

 

3-2.年齢ごとの投資意欲への影響

18~29歳

27.9%の人が、「増進した」と回答した。一方で19.5%の人は、「減退した」と回答した。18~29歳で、「増進した」と回答した人は、全体より3.5%高かったが、「減退した」と回答した人も5.1%高かった。

 

30~39歳

34.1%の人が、「増進した」と回答した。一方で13.8%の人は、「減退した」と回答した。30~39歳で、「増進した」と回答した人は、全体より9.7%高かったが、「減退した」と回答した人は0.6%低かった。

 

40~49歳

19.4%の人が、「増進した」と回答した。一方で11.9%の人は、「減退した」と回答した。40~49歳で、「増進した」と回答した人は、全体より5%低かったが、「減退した」と回答した人も2.5%低かった。

 

50~60歳

20.0%の人が、「増進した」と回答した。一方で15.0%の人は、「減退した」と回答した。50~60歳で、「増進した」と回答した人は、全体より4.4%低かったが、「減退した」と回答した人は0.6%高かった。

 

4.分析&所見

昨春のコロナウイルスの世界的大流行により、世界の主要マーケットの株価が大幅下落し、その後株価が上昇するといった、変動率が高い相場が続いており、金融取引が活発になっているといわれているが、本調査でも投資意欲が「減少」した人よりも「増加」した人の方が多く、データとしても裏付けられた。

 

30歳代の人の投資意欲がその他の年代と比較して旺盛であった。続いて、18~29代、40~49歳代、50~60代の順で、投資意欲が減退していく。

 

特に18~39歳の若い世代で投資意欲が増進したのは、在宅時間が増えて、お金についてじっくり考える時間が増えたこと、コロナ禍で急速にオンライン社会に転換したこと、スマホ等で簡単に投資ができるなど、オンラインリテラシーが高い等の理由で、若い世代で資産運用への意欲が増進したと言える。

 

5.コロナ禍でどの資産運用が人気なのか

コロナバブルで株式に火が付く

設問1:以前と比べ、どの投資項目で投資額が増えましたか。(複数選択可)

設問2:以前と比べ、どの投資項目で投資額が減りましたか。(複数選択可)

投資が増額した項目では、国内株式が40.1%、国内投資信託が21.9%、海外株式20.9%、海外投資信託20.3%、貯蓄型保険11.1%の順となった。

 

投資が減額した項目では、国内株式40.5%、国内投資信託12.4%、生命保険/損害保険11.6%、海外株式10.2%、海外投資信託8.8%の順となった。

 

6.分析&所見

金融商品の中では、国内株式が最もコロナ禍の影響を受けており、投資の増額と減額の両面で、その他の金融商品よりも変化の割合が大きくなっている。

 

これは、新型コロナショックによる世界的な景気後退を受け、国内株価が急落し、これを資産づくりの好機と捉え、株式で投資デビューする個人投資家が増えた一方、以前から株式で投資をしていたベテラン投資家は苦戦を強いられ、撤退していったと考えられる。

 

株以外の投資項目でも、投資金額が全体的に増額している。コロナ禍で将来の見通しがつかないことや、収入が不安定になるかもしれないという不安が投資意欲を押したと言える。

 

7.どの端末でネットバンキングを利用するのか

若い人ほどスマホで、年配者ほどPCで

設問:あなたはインターネットバンキングサービスをご利用なさっていますか。(複数選択可)

PC版インターネットバンキングを利用している人

全体の41.9%がPC版インターネットバンキングを利用している。年齢ごとでは、50~60歳(58.3%)が一番多く、続いて40~49歳(49.4%)、30~39歳(37.8%)、18~29歳(16.5%)となり、年齢が高ければ高いほど、PC版ネットバンキングを利用する傾向にある。

 

スマートフォン版インターネットバンキングを利用している人

全体の33.5%がスマートフォン版インターネットバンキングを利用している。年齢ごとでは、30~39歳(42.6%)一番多く、続いてが、40~49歳(33.2%)、18~29歳(32.0%)、50~60歳(27.9%)となり、30代のスマートフォン版インターネットバンキング利用率が圧倒的に高い。一方で、50~60歳では、利用率が一番低くなる。

 

インターネットバンキングを利用していない人

全体の40.7%がインターネットバンキングを利用していない。年齢ごとでは、18~29歳(59.6%)が一番多く、続いて30~39歳(38.7%)、40~49歳(34.9%)、50~60歳(32.7%)となり、若ければ若いほど、インターネットバンキングを利用しない傾向にある。

 

8.分析&所見

端末別の利用状況では、年齢が上がるにつれてPC版の利用率が増加している一方、スマートフォン版では利用率の低い18~29歳を除くと、年齢が上がるにつれて減少している。

 

高年層でPC版の利用率が高いのは、画面が大きくて見やすく、操作の間違いなども起こりにくいため、高年層に人気があると考えられる。18~29歳の年代でPC版の利用率が著しく低いのは、この年代がデジタルネイティブ世代ということが大きく影響していると思われる。

 

利用状況の有無では、18歳~60歳の日本のインターネット利用者のうち、インターネットバンキングを利用している人の割合は約6割となっているが、18~29歳の年代では利用率が約4割と低い。

 

 インターネットバンキングは、わざわざ銀行に行かなくとも振り込みができるなど便利な面があるが、不正ログインやクレジットカード番号の流出など、安全性への不安も消えない。ネットバンキングは経済の活性化、効率化に役立つが、普及のカギはセキュリティ対策にあるとみられる。

 

9.ネットバンキングでよく利用するサービスは?

すべての年代を通じて銀行振り込みが人気

設問:インターネット/モバイルバンキングサービスにおいては、どのサービスをご利用になりますか。(複数選択可)

銀行振込

銀行振込は、50~60歳では63%が、40~49歳で53%が利用している。続いて、30~39歳が49%、18~29歳が39%であった。

 

クレジットカード情報の確認及び管理

クレジットカード情報の確認及び管理は、30~39歳が36%、40~49歳が34%、50~60歳が31%、18~29歳が23%であった。

 

本人アカウント情報の確認及び管理

本人アカウント情報の確認及び管理は、30~39歳(29%)、18~29歳、40~49歳(25%)、50~60歳(22%)であった。

 

モバイル決済

モバイル決済は、18~29歳、30~39歳、40~49歳(21%)で、50~60歳(14%)であった。

 

信託、株式、証券など、現在保有する投資商品の管理

信託、株式、証券など、現在保有する投資商品の管理は、50~60歳(19%)、30~39歳(16%)、18~29歳(13%)、40~49歳(12%)であった。

 

資産運用シュミレーション/入出金明細確認

資産運用シュミレーション/入出金明細確認は、30~39歳(20%)、50~60歳(14%)、40~49歳(11%)、18~29歳(7%)であった。

 

最新情報/ニュース

最新情報/ニュースは、50~60歳(14%)、40~49歳(13%)、18~29歳、30~39歳(12%)であった。

 

投資商品の購入

投資商品の購入は、50~60歳(17%)、30~39歳(15%)、18~29歳、40~49歳(9%)であった。

 

為替レート、信託、株式など、資産運用情報の閲覧

為替レート、信託、株式など、資産運用情報の閲覧は、50~60歳、40~49歳、

30~39歳(10%)、18~29歳(8%)であった。

 

生活情報の閲覧

生活情報の閲覧は、30~39歳(11%)、18~29歳、50~60歳(8%)、40~49歳(7%)であった。

 

10.分析&所見

インターネットバンキングで、一番利用されているサービスは銀行振込で、すべての年代を通じて最も頻繁に利用されている。また、利用率は年齢が上がるにつれて増加し、50~60歳では6割以上の人が利用している。

 

一方、コロナ禍でキャッシュレス決済が進んできたと思われるが、モバイル決済サービスの利用率は20歳代~40歳代で約20%、50~60歳ではやや低く、14%という結果であった。資産運用に関するサービスの閲覧についても、全ての年代を通して10%前後の低い利用率となっており、まだ普及の余地が多分にある。

 

インターネットバンキングのサービスを向上させるには、セキュリティの不安を解消させると共に、ポイント還元率や、特典、手数料の優遇サービスなど魅力的なサービスを実施することが課題である。

 

資産形成と電子金融取引についての調査

調査対象:18歳から60歳までの日本人ネットユーザー

調査方法:Webアンケート

調査方法:Webアンケート

調査期間:2021年4月30日-5月6日

回答数:1080名

執筆:庄司恵子