2022-03-11 経済

ロシアがウクライナで生物化学兵器を使用か プロパガンダで米国非難した露に中国も同調

© Reuters / 達志影像 Jen Psaki

中国政府は今週、「米国主導でウクライナが生物化学兵器を開発している」とするロシア側の主張に同調し、米国を名指しで批判した。一方、ホワイトハウスはこれを荒唐無稽と一蹴し、ロシアが今後、ウクライナ戦争で生物化学兵器を使う布石の可能性があると警戒感を強めている。

中国外務省の趙立堅(ちょうりつけん)報道官は8日の定例会見で、「米国で公開された資料によると、ウクライナには26の生物研究や関連の施設が存在し、米国防総省の絶対的管理下にある」と主張した。

「ウクライナにある全ての危険な細菌はそれらの施設に貯蔵されているはずで、米国側が全ての研究活動を主導してきた」とまくし立てた。

米FOXニュースによると、この発言はロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官が今週発信した虚偽の主張に同調したものだという。ザハロワ氏は会見で、「ウクライナ側が軍事用生物研究プログラムに関する証拠を、ロシアの侵攻軍が発見することを恐れて隠蔽(いんぺい)しようとした」とし、「その証拠をロシア軍が突き止めた」と発表したのだ。

その〝証拠〟とするのは、米国とウクライナが2005年、生物化学兵器の研究・開発を防止するために署名した合意文書だ。これは1991年のソビエト連邦崩壊後、ウクライナなど旧ソ連の共和国に残された大量破壊兵器の安全確保と解体が、米国主導で進められた国際的な軍縮活動の一環だった。

その中で、この合意文書を根拠に、ウクライナで生物化学兵器を開発したとするロシア側の主張は、「プーチン政権による陰謀論のでっち上げ」と米国政府は切り捨て、ロシアが今この発表をしたのは、ロシア軍が近くウクライナで生物化学兵器を使用する伏線だとの見解を示した。

一方、中国側がロシアのプロパガンダに便乗したのは、新型コロナウイルスの起源をめぐる論争と関係しているとFOXニュースは伝えた。

中国政府はこれまで、同ウイルスが武漢ウイルス研究所から流出したものとする説を躍起になって否定してきた。それがここにきて、ロシアが唐突に「米国主導によるウクライナでの生物化学兵器開発の証拠」を持ち出したことで、新型コロナウイルスが米国関連施設から流出したことにすり替える絶好の機会だとの思惑があるとみられる。

8日の会見で趙報道官は、「中国政府は関係国がこれらの研究施設の安全を確保するよう求めている」とし、「特に米国はこれらの施設を最も熟知している関係国として、貯蔵されているウイルスの種類や、どのような研究が行われてきたかなどの情報を速やかに公開すべきだ」と迫ってみせた。

さらに、同報道官は、ウクライナの研究施設は〝氷山の一角〟だとし、「米国は30か国に336の生物研究施設を管理下に置いてる。336だ。ちゃんと聞いたか?」と記者団に向かって強調した。

この会見にホワイトハウスのジェン・サキ報道官は9日、「米国がウクライナで生物化学兵器の開発をしているという虚偽の主張をロシアがして、中国もこうした陰謀論に同調している。これは明らかに、周到に準備した理不尽な攻撃を正当化するための策略だ」と指摘。続けて、「ロシアがこのような虚偽の主張をし、中国もこのプロパガンダに同調しているように見える以上、ロシアがウクライナで生物化学兵器を使うか、それとも(相手が使ったように見せかけて使用する)偽旗作戦の可能性を警戒すべきだ」と訴えた。

 

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