注目ポイント
日本では、(1)医療従事者等を接種順位1位、(2)令和3年度中に65歳以上になる高齢者を接種順位2位としてワクチンの接種が始まっており、コロナウイルス感染症の重症化リスクのある(3)基礎疾患のある人への接種も6月より多くの自治体で優先的に接種が開始されようとしている。今回は、どの年代の人がどの程度積極的にワクチン接種を考えているか、さらに感染者数の増減や緊急事態宣言の発出・解除と個人消費の予想について調査した。
ワクチン接種に対する意識調査
日本で承認されたコロナワクチンが米ファイザー製1種類のみという状況下でのワクチン接種への期待感について調査した。
ワクチン接種に対して積極的にとらえている年代は50‐60歳が最も多く、「積極的」「やや積極的」を合わせると半数以上の52.4%、18‐29歳の26.1%の2倍にのぼる。これは年齢が上がるにつれ増加傾向にあり、30‐39歳で34.9%、40‐49歳で43.6%となっており、年代間の差は比較的大きいと言える。
高齢者の方が若者に比べてコロナにかかりやすい、重症化しやすいと言われていることが原因と考えられる。一方、「消極的」「やや消極的」を見ると、18‐29歳が25.7%、30‐39歳が22.8%、40‐49歳が22.1%、50‐60歳が18.3%となっており、肯定的にとらえている割合と比べて年代間の差はそれほどないように見える。
全対象者を見ると「どちらともいえない」は、「積極的」「やや積極的」とほぼ同じ割合で、約4割がそう答えている。特に18-29歳では半数近くの人が意思を確定できていない。
ワクチンの打ち手や供給量がまだ不十分な現状では接種済みの人数も少なく、副反応について判断材料が乏しく、また、接種の申し込み方法や接種会場へのアクセスやトラブルについても不安が十分払拭できていないので、多くの人が静観しているものと思われる。

情報公開と接種体制の構築が喫緊の課題
モデルナ製ワクチンとアストラゼネカ製のワクチンが5月21日に承認され、大規模接種会場での接種も大きなトラブルなくスタートした。ワクチン接種の予約方法や副反応に関する情報の正確な公開や周知を徹底し、よりスムーズな接種体制の構築が喫緊の課題である。
先の見通せないコロナ禍での消費予想
感染者数が減少を始めた今年3月の調査では昨年同期に比べて個人消費が増えると予想した人が多かった。しかし4月下旬に緊急事態宣言が発出されるや否や個人消費は一気に水を差された形になった。
個人支出総額の変化
昨年の同時期と比較して、今後3か月に自分自身の支出総額がどのように変化すると思うかについて、本年3月の調査では全対象者の統計で6.9%支出が増加するだろうと答えた。実際に18‐29歳は7.5%、30‐39歳は7.2%、40‐49歳は8.4%で、この3世代でそれぞれ7%以上の増加を見込んでいたが、50‐60歳ではちょっと減って4.6%の増加予想となった。