2021-12-15 調査データ

ワクチン接種に対する意識及び、コロナ禍における個人消費の変化

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注目ポイント

日本では、(1)医療従事者等を接種順位1位、(2)令和3年度中に65歳以上になる高齢者を接種順位2位としてワクチンの接種が始まっており、コロナウイルス感染症の重症化リスクのある(3)基礎疾患のある人への接種も6月より多くの自治体で優先的に接種が開始されようとしている。今回は、どの年代の人がどの程度積極的にワクチン接種を考えているか、さらに感染者数の増減や緊急事態宣言の発出・解除と個人消費の予想について調査した。

ワクチン接種に対する意識調査

日本で承認されたコロナワクチンが米ファイザー製1種類のみという状況下でのワクチン接種への期待感について調査した。

 

ワクチン接種に対して積極的にとらえている年代は50‐60歳が最も多く、「積極的」「やや積極的」を合わせると半数以上の52.4%、18‐29歳の26.1%の2倍にのぼる。これは年齢が上がるにつれ増加傾向にあり、30‐39歳で34.9%、40‐49歳で43.6%となっており、年代間の差は比較的大きいと言える。

 

高齢者の方が若者に比べてコロナにかかりやすい、重症化しやすいと言われていることが原因と考えられる。一方、「消極的」「やや消極的」を見ると、18‐29歳が25.7%、30‐39歳が22.8%、40‐49歳が22.1%、50‐60歳が18.3%となっており、肯定的にとらえている割合と比べて年代間の差はそれほどないように見える。

 

全対象者を見ると「どちらともいえない」は、「積極的」「やや積極的」とほぼ同じ割合で、約4割がそう答えている。特に18-29歳では半数近くの人が意思を確定できていない。

 

ワクチンの打ち手や供給量がまだ不十分な現状では接種済みの人数も少なく、副反応について判断材料が乏しく、また、接種の申し込み方法や接種会場へのアクセスやトラブルについても不安が十分払拭できていないので、多くの人が静観しているものと思われる。

情報公開と接種体制の構築が喫緊の課題

モデルナ製ワクチンとアストラゼネカ製のワクチンが5月21日に承認され、大規模接種会場での接種も大きなトラブルなくスタートした。ワクチン接種の予約方法や副反応に関する情報の正確な公開や周知を徹底し、よりスムーズな接種体制の構築が喫緊の課題である。

 

先の見通せないコロナ禍での消費予想

感染者数が減少を始めた今年3月の調査では昨年同期に比べて個人消費が増えると予想した人が多かった。しかし4月下旬に緊急事態宣言が発出されるや否や個人消費は一気に水を差された形になった。

 

個人支出総額の変化

昨年の同時期と比較して、今後3か月に自分自身の支出総額がどのように変化すると思うかについて、本年3月の調査では全対象者の統計で6.9%支出が増加するだろうと答えた。実際に18‐29歳は7.5%、30‐39歳は7.2%、40‐49歳は8.4%で、この3世代でそれぞれ7%以上の増加を見込んでいたが、50‐60歳ではちょっと減って4.6%の増加予想となった。

 

特記すべきは40‐49歳の予測である。3月の予測では去年よりも今年の3月の方が自分自身の消費が8%以上も増加すると全ての年代の中で最高値を予想。しかしその2か月後、5月の予測では前年度比で個人消費が0.1%しか伸びないと予測しており、こちらはすべての世代の中で最低値となっている。

 

この世代では両極端の結果が出た。職場では実質上の中堅層が多く、家庭では小中学校に通う子供がいる人が多い。感染者数が減ってきたら仕事上の付き合いや接待、子供の進学・進級、大型連休になると一家総出のレジャーなど、支出が増加する要素が目白押しであるのに対して、緊急事態宣言が発出されて自粛ムードが高まると、様々なケースに備えて出費を控える裁量のある世代であることがその背景と考えられる、

2020年3月は第1回緊急事態宣言が発出される直前で、東京の新規感染者は87人 だった。これに対して今年3月21日に第2回緊急事態宣言が解除される直前の東京の新規感染者は342人 であったが、それでも7%前後支出が増加すると見込んだのは、全国的には新規感染者が減少傾向にあったこと、及びワクチン供給開始など、明るい材料が多少見えてきたことが理由としてあげられる。

 

しかし、4月25日に東京、大阪、京都、兵庫に第3回緊急事態宣言が発出され、その後5月に入って全国感染者数が昨年同時期の3~4倍に激増した。そのため、本年5月の調査では、18‐29歳で0.9%、40‐49歳で0.1%、50‐60歳で0.5%と軒並み1%を切っており、全対象者でも1.1%で、今後3か月の支出総額は昨年同時期とほぼ同額と回答、消費の停滞が予想される。

 

3月調査と5月調査の結果、たった2か月で、コロナ禍の状況を不安視している傾向が明らかになった。

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外出自粛とステイホームで「住」の充実へ加速

カテゴリー別の消費予測調査を見ると、人流抑制、三密回避、営業自粛などコロナ対策の影響でレジャーや高級品の消費が抑えられていることがわかった。またコロナ禍も一年以上続いており、巣ごもりに必要なものはだいたい購入済みで、今後さらに長引くと思われるステイホームや在宅勤務をより充実したものにしようとDIY関連商品及び家庭用品の消費が増加するとの予想が顕著に見て取れる。

 

商品カテゴリー別支出総額の変化

今後3か月の自分自身の消費、つまり支出総額が昨年同時期と比べてどのように変化するかについて、商品カテゴリー別に3月と5月の二回調査した。ほとんどの商品カテゴリーで今後3か月間の消費は減少すると予想。コロナ禍での感染対策や自粛の影響が浮き彫りになった。

 

コロナ禍のみならず、不況、恐慌など非常事態の際、最初にカットされるのは腕時計やバッグなどの高級品や旅行のようなぜいたく品であるのは自明の理であり、今回の調査で明らかなようにブランド品は昨年3月との比較で20.9%、カテゴリー別減少予測トップ、旅行が17.8%で2位となっている。

 

旅行は人流を抑制するために自粛が要請され、ホテルや観光バスなど旅行関連業者への休業要請などもあり、消費が大きく影響された。この2つのカテゴリーは4月下旬に緊急事態宣言が発出した後の5月調査でも同様、それぞれ25.7%、24.5%とワースト2を占めている。

 

次に消費が減少すると予測されているのはスポーツ用品で、昨年と今年の3月調査では15.7%減少、5月調査では19.2%の減少で、第3位。スポーツは種目によっては大勢が密集したり、密接になったりすることに加えて、スポーツ場所の閉鎖や使用制限が原因でスポーツ用品の購入減少が予測される。

 

アルコール飲料、及び外食・娯楽も3月調査でそれぞれ7.8%、7.1%の減少予測、この2カテゴリーでは3月調査ではそれほど差がない。一方、外食・娯楽については、営業時間短縮要請の影響で消費減少は去年と今年の5月調査ではその減少予測はさらに13.0%にまで拡大している。

 

ファッション、スキンケア・コスメは、外出自粛や在宅勤務の影響で必要性が減り、それに伴い消費予想も3月調査でファッションが5.5%、スキンケア・コスメが2.6%の減少、5月調査でさらに拡大し、それぞれ9.5%、7.6%の減少となっている。

 

電子製品は3月調査で2.2%の減少、5月調査で7.6%の減少となった。スマホやゲーム機、パソコンなど、ステイホーム時に使える電子製品は今後3か月で需要が激増すると見込んだが、実際には昨年初頭に始まったコロナ禍が一年以上続き、必要な人はすでに購入していると思われる。

 

その他、健康食品と家電も3月調査3%以上、5月調査6~8%とこれもやはり減少が予測されている反面、3月調査も5月調査も消費が増えると予測されているのがパッケージ食品と家庭用品である。パッケージ食品は3月調査では2.0%の微増であったが、5月調査では0.9%減少している。これはやはり4月25日の第3回緊急事態宣言の発出が原因と考えられる。

 

今後個人消費増加が予想できるのは家庭用品とDIY用品か

カテゴリー別支出では家庭用品のみ3月調査でも5月調査でも連続で消費増加が見込まれている。ステイホームや在宅勤務が推奨され、実際に増えている現状においては、より充実した労働環境や快適な生活を求めてDIYに時間が割ける人が多くなってきたためではないかと思われる。

ワクチン接種に対する意識及びコロナ禍における個人消費の変化

調査目的:ネットユーザーのコロナに対する最新の意識及び個人消費動向の把握を目的として調査

調査対象:18歳から60歳までの日本人ネットユーザー調査方法: Webアンケート

調査方法:Webアンケート

調査期間:2021年4月30日-5月6日

回答数:1080名

執筆: 橋本行平