注目ポイント
死者の日の祝賀イベントに参加する海外観光客とメキシコ人が、メキシコシティの中心に押し寄せ、死者のために入念に用意された供物に心を奪われた。住民と観光客を含む数千人が、首都を抜けるパレードルートに沿って道を挟み、パレードを見学した。
COVID-19(新型コロナウイルス)が大流行して以降、死者の日のパレードが今年10月31日についに復活した。巨大なドクロ、色とりどりのコスチュームやマリアッチ(mariachi)の合奏。音楽とダンサーがメキシコシティの中心に溢れ、1000名余りの参加者、10台のパレードカー、4名のミュージックスター、350名のダンサーとパフォーマーが参加した。
死者の日の祝賀イベントに参加する海外観光客とメキシコ人が、メキシコシティの中心に押し寄せ、死者のために入念に用意された供物に心を奪われた。住民と観光客を含む数千人が、首都に抜けるパレードルートに沿って道を挟み、パレードを見学した。パレードは昨年、新型コロナ流行のため中止を余儀なくされていた。
ヤディラ・アルタミラノ(Yadira Altamirano)さんも多くの人と同じように、死を代表する骸骨女性「カトリーナ(Catrina)」に扮した。「カトリーナ」は死者の日の象徴で、死者の日はメキシコで最も重要な日の1つである。「去年来たかったけれど、イベントが中止になっちゃったから。ようやくチャンスに恵まれたわ」。38歳のアルタミラさんはメキシコ人だが、幼い頃からアメリカに住んでいる。死者の日の伝統の実践に熱心だ。「家で祭壇を並べるのは私だけ。でも11月2日の真夜中には一家で夕飯を食べるの」と言う。
ローマカトリックとスペイン信仰の結合
メキシコシティで最も賑やかなソカロ広場(Zócalo)は、かつてアステカ帝国で最も神聖だった寺院遺跡の付近に位置している。祭壇には伝統的なメキシコのパンとバナナ、オレンジ、トウモロコシが飾られており、亡くなった老人の写真も並べられている。観光客たちは巨大な白い頭蓋骨の横でポーズをとって写真を撮り、チョコレートで飾られた骸骨、新鮮な果物とマリーゴールドの大きな祭壇を目の当たりにする。骸骨には鮮やかで美しい花が描かれている。
ソカロに作られた祭壇に死者を祭るのは伝統のひとつで、ローマカトリックの儀式と死者が毎年あの世から1度戻ってくると信じるスペイン信仰と結びついたものである。
パレードはソカロからスタートする。市当局はコロナ前線の医療従事者と感染者のために今回のイベントの開催を決定した。コロンビアからの観光客、ミゲル・トーレス(Miguel Torres)さんは、顔と唇をそれぞれ死の黒と白に塗っていた。「どんな文化圏であれ、死は恐ろしいもの。でもここでは彼らが死を祝っているのを見ることができる」と彼は言う。「新しい文化を知り、死を遅かれ早かれ誰の身にも訪れる新しい段階だと考える、これが一番重要なことだ」とも。