2021-12-13 ライフ

新型コロナウイルス流行後、メキシコで「死者の日」パレード 初開催!「007 スペクター」のシーンそっくりな驚きのわけ

© Reuters / TPG Images

注目ポイント

死者の日の祝賀イベントに参加する海外観光客とメキシコ人が、メキシコシティの中心に押し寄せ、死者のために入念に用意された供物に心を奪われた。住民と観光客を含む数千人が、首都を抜けるパレードルートに沿って道を挟み、パレードを見学した。

COVID-19(新型コロナウイルス)が大流行して以降、死者の日のパレードが今年10月31日についに復活した。巨大なドクロ、色とりどりのコスチュームやマリアッチ(mariachi)の合奏。音楽とダンサーがメキシコシティの中心に溢れ、1000名余りの参加者、10台のパレードカー、4名のミュージックスター、350名のダンサーとパフォーマーが参加した。


死者の日の祝賀イベントに参加する海外観光客とメキシコ人が、メキシコシティの中心に押し寄せ、死者のために入念に用意された供物に心を奪われた。住民と観光客を含む数千人が、首都に抜けるパレードルートに沿って道を挟み、パレードを見学した。パレードは昨年、新型コロナ流行のため中止を余儀なくされていた。


ヤディラ・アルタミラノ(Yadira Altamirano)さんも多くの人と同じように、死を代表する骸骨女性「カトリーナ(Catrina)」に扮した。「カトリーナ」は死者の日の象徴で、死者の日はメキシコで最も重要な日の1つである。「去年来たかったけれど、イベントが中止になっちゃったから。ようやくチャンスに恵まれたわ」。38歳のアルタミラさんはメキシコ人だが、幼い頃からアメリカに住んでいる。死者の日の伝統の実践に熱心だ。「家で祭壇を並べるのは私だけ。でも11月2日の真夜中には一家で夕飯を食べるの」と言う。


 

ローマカトリックとスペイン信仰の結合


 

メキシコシティで最も賑やかなソカロ広場(Zócalo)は、かつてアステカ帝国で最も神聖だった寺院遺跡の付近に位置している。祭壇には伝統的なメキシコのパンとバナナ、オレンジ、トウモロコシが飾られており、亡くなった老人の写真も並べられている。観光客たちは巨大な白い頭蓋骨の横でポーズをとって写真を撮り、チョコレートで飾られた骸骨、新鮮な果物とマリーゴールドの大きな祭壇を目の当たりにする。骸骨には鮮やかで美しい花が描かれている。

ソカロに作られた祭壇に死者を祭るのは伝統のひとつで、ローマカトリックの儀式と死者が毎年あの世から1度戻ってくると信じるスペイン信仰と結びついたものである。
 

パレードはソカロからスタートする。市当局はコロナ前線の医療従事者と感染者のために今回のイベントの開催を決定した。コロンビアからの観光客、ミゲル・トーレス(Miguel Torres)さんは、顔と唇をそれぞれ死の黒と白に塗っていた。「どんな文化圏であれ、死は恐ろしいもの。でもここでは彼らが死を祝っているのを見ることができる」と彼は言う。「新しい文化を知り、死を遅かれ早かれ誰の身にも訪れる新しい段階だと考える、これが一番重要なことだ」とも。

 

また、コロラド州から訪れたアメリカ人観光客ダヤン・メレンデス(Dayan Melendez)さんは言う。「骸骨の背後にある巫覡信仰の部分は非常に印象深い。死の意義に根付いている。これこそが心を揺さぶるもの。今まさにメキシコ本土の文化を理解しているからこそ、恐ろしくないのだと思う」。


 

メキシコ当局が007のシーンの再現決めた

 


1.26億の人口を有するメキシコ。政府はCOVID-19の死者数は28万8000人を超え、世界でも最も多くの死者数を記録している国家の1つである。しかし首都の大多数の成人は、すでにワクチンを接種済みであり、毎日の死者数は減少傾向にあることから、当局は今年のパレードを許可した。

 

ダンサーとパレードカーはメキシコ文化と伝統に敬意を表し、その対象は道端の屋台から、作家、映画アイドル、画家フリーダ・カーロ(Frida Kahlo)まで多岐に渡る。その色鮮やかな色彩とアニメ化したドクロファッションで、死者の日は国際的にも認められているメキシコ文化の象徴である。11月1日から2日まで、全国各地の人々は生花、蝋燭と色とりどりの骸骨で部屋や街、親戚の墓を飾り立てる。

 

死者の日は2003年にユネスコ無形文化遺産に指定された。この日は生者と死者が短い時間交流できると信じられている。パレードは祝賀イベントの中でも比較的新しいもので、2016年に初めて行われた。インスピレーションは2015年のジェームズ・ボンド(James Bond)の映画「007:スペクター」の最初のシーンから来ている。劇中、ボンド役のダニエル・クレイグ(Daniel Craig)がパレードの中、悪者を追いかける。パレードには、宙に浮かぶ巨大なドクロがあり、顔を骸骨にメークした群衆が街で踊っていた。メキシコ当局は映画のパレードシーンを再現し観光業を促進することを決めたのである。



原文作者:Yi-ching Kuai
原文責任編集者:羅元祺
原文校閲者:翁世航
翻訳者:TNL JP編集
校閱者:TNL JP編集部

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