2022-03-09 経済

ウクライナ大統領からの義勇兵募集に呼応 米国など海外の志願者が「国際部隊」に入隊

© Photo Credit: AP / 達志影像

ロシアの大規模な侵略軍から国土と自由を守るため、多くのウクライナの若者たちが志願入隊し、武器を手に前線で猛攻に耐えている。そんな孤立無援のウクライナに対し、「西側が派兵しないなら自分たちが」と、米国など第三国からの義勇兵が続々と現地入りしている。

米国のバイデン大統領と北大西洋条約機構(NATO)は、当初からウクライナへの派兵はしないことを明言。米国ではその判断に不満を持つ退役軍人らが、全米各地で少人数のグループを結成し、戦地入りしてウクライナに加勢する動きが活発化している。

米紙ニューヨーク・タイムズは先週末、現地に向けて出発した〝ヘクター〟という男性を紹介した。イラク戦争に2度派遣された元米海兵隊員で、すでに除隊し、現在は軍人年金を受け取りながら民間の仕事に従事してきた。

だが、ロシアによる一方的な侵略に憤り、ヘクターは自ら〝3度目の兵役〟を決断。 退役軍人の仲間たちから譲り受けたライフルスコープやヘルメット、防弾チョッキなどの軍事物資をバッグに詰め、空港からウクライナに向けて出発した。「経済制裁は効果があるだろう。でも即効性がない。市民たちは今すぐ助けが必要なんだ」と同紙に語った。

ヘクターは部隊での経験を生かし、現地では装甲車や重火器の取り扱いを指導することを考えているという。「米国の多くの退役軍人たちに呼び掛けている。ずっとこのような戦闘のために訓練を積んできたのだから、じっとしてはいられない。(昨年8月の)アフガニスタンの陥落をただ傍観することしかできなかったから、もう耐えられない。やるしかない」と胸中を明かした。

ウクライナのゼレンスキー大統領は国際社会に支援を求める中、「われわれと一緒に戦ってほしい」と外国人の有志に〝国際部隊〟に入隊するよう呼び掛けている。これに応じ、米国のほかにも英国、フランス、スウェーデン、イスラエルなど欧州各地や、日本や韓国などからもそれぞれの国にあるウクライナ大使館に問い合わせが続出しているという。

ゼレンスキー氏は先週、1万6000人の外国人が同部隊に入隊するため、すでにウクライナ入りしていると発表。ウクライナ軍によると、部隊の一部は同国の首都キエフ郊外で展開。「米国や英国、スウェーデン、リトアニア、メキシコ、インドからの義勇兵が参加している」としているが、ニューヨーク・タイムズは実際の規模については不明としている。

この動きに反応したロシア国防省は先週、国内メディアを通じ、外国人兵は正規兵ではなく傭兵とみなし、戦時捕虜に関するジュネーヴ条約の人道上の保護は適応されないと主張。拘束した場合、「戦犯として処刑する」として外国人がウクライナ軍に加勢しないよう警告した。

その一方、ロシアはシリアで傭兵を募集し、戦闘に投入しようとしていると米国防総省高官が7日に明らかにした。ロシアは開戦前から国境周辺に集結させていた兵力19万人のほぼ全てをウクライナに投入したとみられるが、キエフや第2の都市ハリコフなど、南部を除いて都市部を制圧できていない。

時事通信などによると、米高官は「既に大規模な戦力を投入しているにもかかわらず、(ロシアのプーチン大統領が)外国の戦闘員に戦力の補充を頼らなければならないのは特筆すべき点だ」と指摘した。

一方、米国のブリンケン国務長官は今週、「ウクライナやウクライナの人々を支援したいのなら、ほかにもたくさん方法はある。例えば人道支援活動をするNGOの手助けをしたり、ロシアにより引き起こされたこの危機の平和的解決を訴える活動などだ」とし、民間人が同国入りすることを控えるよう訴えている。

 

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