2021-12-09 経済

9日開幕バイデン大統領の「民主主義サミット」に中国が対抗 共産党独裁体制を“機能する民主主義”と自画自賛

© Reuters / TPG Images

ジョー・バイデン米大統領が、日本や台湾を含む世界約110か国・地域の指導者らを招き、初の「民主主義サミット」をオンラインでワシントン時間9、10両日開催するのに合わせ、招待されなかった中国政府は“米国型民主主義”をおとしめる口撃を繰り広げている。
 

英紙ガーディアンによると、中国メディアや政府関係者はここ数日、米政府の構造について、「金権政治のお遊び」、「少数が多数を制するというルール」などと批判。中国共産党による一党独裁制度については“社会民主主義”こそ“全行程民主主義”だと自画自賛している。
 

そんな中、中国政府は4日、「中国/機能する民主主義」と題する冊子を発表。ツッコミどころ満載の同冊子には、欧米のチャイナウォッチャーが冷静に反論している。

 

ガーディアン紙がまとめた反論によると、「中国共産党に対抗する野党は存在せず、地方選挙で市民は投票できるが、候補者は全て当局が選別した人物」、「中国共産党の綱領に沿わない思想を持つ候補者は嫌がらせを受けるか、逮捕の対象となる」などとなっている。

 

英国王立防衛安全保障研究所の上級アソシエートフェローで、元英外交官のチャールズ・パートン氏はロイター通信に、「習近平国家主席は中国共産党の統治は西側諸国より優れていると長年主張しているが、そうすることで一党独裁体制を正当化している」と解説した。
 

一方、中国外務省は5日、米国の民主主義システムを批判する文書を発表。中国国営・新華社通信は、米国を揶揄(やゆ)する風刺画やイラストを付けて同文書をツイッターなどで発信した。

 

さらに、中国共産党系タブロイド・環球時報の英字版グローバル・タイムズは同文書が「米国での民主主義の欠陥や乱用、そのような民主主義を輸出することの害悪を暴いた」とした。また、「米国は“民主主義の指標”からは程遠く、アメリカのカオスな社会を見る限り、自慢できるものは何もない」とこき下ろした。

 

中国はまた、親中派の英政治評論家マーティン・ジャックス氏やケン・リヴィングストン元ロンドン市長の経済政策責任者だったジョン・ロス氏らを迎え、米国民主主義の問題点をあぶり出すフォーラムを先日開催した。

 

同フォーラムで基調講演した楽玉成・中国外交部筆頭副部長はバイデン氏主催の「民主主義サミット」に言及。「民主主義の真逆」で「世界の連帯、協力、開発にとって良いことは何もない」と一蹴した。さらに、米国の民主主義と比較し、「中国の“全行程人民民主主義”は選挙の時だけ目を覚まし、終われば眠りにつくようなものではない」と自画自賛した。

 

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