2021-12-09 テクノロジー

日本の次世代主要産業は「電気自動車」になる -- TSMCと提携、熊本県の半導体工場建設は国家戦略

注目ポイント

熊本県は、日本のカーアイランドとして知られる—―。九州の真ん中に位置し、その豊富な水資源は半導体工場を建設する上で好条件の立地であるのに加え、当地区にある各半導体、自動車企業は、次なる「電気自動車」という次世代主要産業に繋がっていく。


経済産業省は、今年発表した3年間の補助金予算7740億円の内、6170億円を国内生産拠点確保のために充てるとした。補助金率は50%とし、数年に渡って配布される見通しだ。政府関係者は「補助金は、半導体工場設備の更新、拡大、脱炭素化に使用され、ウェハの供給の安定を確保する為のもの」と強調した。


日本のネット上で批判相次ぐ:「日本政府は既に4000億円の補助金を約束しているが、後退する一方の産業に対して本当にそんなにも巨額な補助をする必要があるのか? そもそも短期間でそんなにも大きな補助ができるのか?」「建設から3年後にはさらに後退しているのではないか?」と心配する声があがった。


日本財形新聞の記者・須田氏は「これらの考え方は、半導体業界の核心を理解した上でのものではない」と指摘した上で「半導体は元来、専門的な分野がグローバル化したものだったが、サプライチェーンが大きく変化し、モノのインターネット(Internet of Things)の時代に突入したことが重要なターニングポイントになった。現在は、アメリカ、日本、ヨーロッパを中心としているが、中国との同盟関係もあることで多方面で次世代技術の主導権争いが起こっている。」と説明した。一方で須田氏は、リスク管理の観点から、アメリカ、日本、ヨーロッパは(各々の工場を用いて)今後に備えるべきであるとも述べた。


また、後退している半導体業界という見方に対してはこう続けた。日本製の半導体は主に自動車産業で使用されているため、(スマートフォン等に用いられる)高度な半導体の必要性はない、と。将来的にはモノのインターネットと自動車によって自動運転(電気自動車)が実現する。「もし、将来(チップが)少なくなれば、日本の自動車産業は(将来の競争に)耐えられなくなるだろう」と須田氏は強調する。


それに加え、日本の自動車用半導体は、西側諸国で取り決めたグリーン社会実現のためにサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指さなくてはならない。須田氏は、中国製の半導体だと欧米の要件を満たせない可能性があるとし、日本の自動車メーカーは、日本、アメリカ、ヨーロッパで生産されたTSMCの半導体のみ使用することで、欧米市場で販売することが出来ていると話す。脱炭素は国際的にもトレンドとなっており、クライメイト・グループやカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)等の非営利団体は、事業運営に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを目標とするRE100プロジェクトに取り組んでいる。

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