2022-03-04 経済

プーチン氏が思い描くソ連再建とウクライナの次 モルドバなどNATO非加盟国「明日は我が身」

© Photo Credit: AP / 達志影像 ルカシェンコ氏 

旧ソビエト連邦の再建を目論むとされるロシアのプーチン大統領。ウクライナ全土を制圧して現政権を排除し、ロシアの傀儡(かいらい)政権を樹立するのが狙いとみられるが、果たして軍事侵略の〝第2章〟はあるのか。ウクライナの西に位置する小国・モルドバは「明日は我が身」ととらえている。

在米モルドバ大使館のオイゲン・カラシュ大使は今週、米FOXニュースとのインタビューで、万一、ロシアやその同盟国ベラルーシの軍が侵攻して来た際に備え、国境の防衛を強化していると語った。

大きなきっかけとなったのは、1日にベラルーシのルカシェンコ大統領が開いた安全保障会議。政府幹部を前に大統領は、東欧の地図を棒で示しながら何かを指示する映像が公開された。地図にはロシア軍によるウクライナ侵攻の複数のルートがピンク色の矢印で示されていた。その中のルートの一つが、黒海に面したウクライナ南部オデッサからモルドバに伸びていたのだ。

英大衆紙サンはこれに注目し、「ベラルーシの独裁者(ルカシェンコ氏)はプーチンのウクライナ侵攻ルートを説明する際、モルドバ侵攻もあることをつい明かしてしまったのだろうか」との疑念を投げかけた。

モルドバはウクライナとルーマニアに挟まれた人口約400万人の国で、旧ソ連の構成国だった。2年前には親欧米派のマイア・サンドゥ大統領が誕生した。だが、軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)に加盟していないことから、もしロシア軍が攻め入っても、ウクライナ同様、NATOの援軍派兵は困難になる。

カラシュ大使によると、モルドバ外務省は駐在するベラルーシ大使を呼び、問題の地図の意図について明確にするよう求めた。「ベラルーシ大使は自国の国防省側に間違いがあったと釈明したと聞いている」と述べた。

モルドバはロシアによる侵攻の可能性に警戒感を強めているが、パニック状態ではないとカラシュ大使は説明。「今後の進展について誰も100%の確信などない。われわれが次のターゲットになるのか?今は違うようだが、1週間後に何が起きるかはわからない。非常に心配している」と続けた。

モルドバの憲法は「中立維持」という条項があるため、NATO加盟申請は計画していないが、ウクライナで起きている戦争により、事情が変わる可能性をカラシュ大使は示唆した。

ウクライナ周辺のNATO非加盟国で、ロシアの脅威に直面しているのはモルドバだけではない。FOXニュースによると、ロシアはフィンランドとスウェーデンに対しても脅迫めいた発言をしている。

ロシア外務省は先月25日の会見で、「フィンランドとスウェーデンがNATOに加入しようとする動きがある」とした上で、「ロシアの安全保障を脅かす行動だ。もしNATOに加入するような事態になれば、軍事的、政治的に深刻な結果になる」と警告。同外務省はまた、「フィンランドがNATOに加入すれば、ウクライナのようになる」とツイートした。

スカンジナビア半島でロシアと国境を接するフィンランドは、第2次大戦中にソ連に事実上敗北。冷戦時代は議会制民主主義と資本主義経済を維持しつつも、東欧の共産主義国と同じように、ソ連の外交政策下に置かれていた。プーチン氏は「フィンランド化」と呼ばれたその旧体制を復活させようとしているのか。

先月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻を受け、バイデン米大統領は「ロシア側の安全保障上の懸念などではない。むき出しの好戦性だ。プーチンはソ連を再建したいのだ」と言い放った。もし本当にそうだとしたら、戦火がさらに広がることになる。

 

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