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2023-11-21 政治・国際

台湾海峡「現状維持」では不十分、台湾人は米国の積極的関与に懐疑的

© Photo Credit: 國防安全研究院 YouTube

注目ポイント

台湾中央研究院社会学研究所が実施した世論調査によると、台湾の人々は「台湾海峡の現状維持は、もはや将来の選択肢ではないかもしれない」と認識していることが明らかになった。

台湾中央研究院社会学研究所の呉介民研究員は11月8日、国立国防研究所の「2023年台北安全保障対話」で、米スタンフォード大学フーバー研究所シニア・フェローのラリー・ダイアモンド氏、アジアソサエティ政策研究所(ASPI)中国分析センターのエグゼクティブディレクター、ベイツ・ギル氏とともに、世界秩序と民主主義に対する中国の挑戦とその対処法についてディスカッションを行った。中央研究院社会研究所が実施した世論調査によると、2022年には台湾人の50%近くが「台湾はいずれ独立する」、30%以上が「台湾海峡両岸は統一される」、20%以下が「現状維持」と考えており、呉氏は平和を守るための「台湾海峡両岸の現状維持」の有効性が薄れていることを示しているという。

 呉氏によれば「台湾海峡を挟んでの現状維持」は、かつてはインド太平洋地域の平和と安定を維持するための「秘伝の策」のようなものであったが、中国の影響力の増大、米国のインド太平洋地域における野心、そして中米間の絶え間ない競争によって、このスローガンは有効性を失いつつあり、そのうえ台湾と米国は現状維持について異なる解釈を持っているという。

 呉介民氏の分析によると、在台湾米国研究所(AIT)のサンドラ・オウドカーク所長は最近受けた台北時報のインタビューで、米国は現状維持がインド太平洋地域の平和と繁栄を維持する方法だと考えており、米国の長年の「一つの中国」政策や台湾関係法、三つの共同コミュニケと六つの保証はすべて「現状維持」だと米国自身は考えていると述べた。 中国の現状認識は、台湾は中国の一部であり議論の余地はないという「一つの中国の原則」である。

しかし、台湾の考える現状維持とは「自分が自分の主人になる」ことである。 蔡英文総統は「自由で民主的な憲法制度、中華民国と中華人民共和国は互いに従属しない、主権を侵害したり併合したりすることはできない、中華民国としての台湾の将来は台湾人全体の意思によって導かれなければならない」とする「四つの堅持」を提唱した。

 呉介民氏は、米中台は「現状」の解釈が異なり、平和な時代には共存できるかもしれないが、台湾海峡が緊迫化するにつれ、現状維持のバランスを保つのは容易ではなく、過去40年続いた平和はもはや見えないと述べた。中国の戦闘機がしばしば台湾を取り囲み、フェイク情報や認知戦、武力、経済的強制が台湾の日常生活の一部となっている。呉氏は「習近平氏は統一をあきらめるはずがなく、彼の台湾に対する『一国二制度』の提案は、実際には台湾が中国のルールに従わなければならないことを意味し、国民党でさえ北京から『独立に傾いている』とみなされる可能性がある」と述べた。

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