注目ポイント
“トロッコ列車”の愛称で知られ、平日でも予約いっぱいの黒部峡谷鉄道は、2013年に台湾の阿里山森林鉄道と姉妹締結を結び、今年で締結10周年を迎えます。鮮やかな紅葉と温泉を楽しむのにも最適なこの時期、“新米日台鉄道ウォッチャー”を自称する台湾人留学生の筆者が、実際に乗車して感じた魅力をレポートします。
秋といえば紅葉の季節。私はちょっと遠出して、列車に揺られながら紅葉を眺めるような休日に憧れます。車窓から紅葉を楽しめる鉄道は各地にありますが、今回フォーカスしたいのが「黒部峡谷鉄道」です。
なぜなら先日、「台湾の阿里山森林鉄道と黒部峡谷鉄道の姉妹締結が、今年で締結10周年を迎えた」という情報が飛び込んできたから。これは“新米日台鉄道ウォッチャー”として行くしかない!ということで、10月末に実際に足を運んでみました。
大迫力の絶景が見られる!紅葉名所の黒部峡谷鉄道
東京から北陸新幹線に乗って約2時間半で富山に到着し、富山地方鉄道で1時間半ほど揺られて宇奈月温泉駅で下車すると、すぐそこに「黒部峡谷鉄道」と書かれた看板が!

黒部峡谷鉄道は開放感のあるトロッコ電車が有名ですが、トンネルを通過する際はひんやりと寒いので、肌寒いのが苦手な方には窓付きの客車も用意されています。窓ありと窓なしでは雰囲気も違うとのこと。私は間近で絶景を堪能すべく、窓なしの普通席に乗り込んでみました。

想像以上にフカフカな長椅子に腰かけて出発! 平日でも韓国人の団体客が来ていたこともあり、全席満員でした。あらかじめ予約をしておいた方が安心ですね。
さて、本日の予定は宇奈月駅から終点の欅平駅までの全区間を往復すること。片道約80分、さまざまな見どころを通過するので車窓から目を離せません。私は事前にいくら予習しても、実際に訪れるとあっけなく見るべきものを見落としてしまう才能の持ち主なのですが……今回はそんな悲劇は起こりませんでした!
なぜなら、車内には沿線の見どころを解説してくれるアナウンスが何度も流れたからです。そのアナウンスを担当しているのは、富山出身の女優、室井滋さん。台湾でも流行った「人は見た目が100パーセント」や「七人の秘書」に出演されているので、ドラマ好きな私にとってはうれしいサプライズでした。また、とても親切なことにアナウンスは外国人観光客向けに多言語で同時翻訳もされます。事前に以下の「おもてなしガイド」アプリをスマホに入れておくと、室井さんのアナウンスとともに訳文が表示されるんです。

アプリの中国語訳はとてもしっかりしていて感動しました。これさえあれば、日本語がわからない台湾人の家族や友人をアテンドするときも、「ガイドさんの通訳ばかりして自分は楽しめなかった……」なんて状況に陥ることはなさそうです。ありがたいですね!
肝心のトロッコ電車は、個人的に魅力だと感じた点が2つありました。1つはトンネルを通過する際の壁との「間近感」。もう1つは絶景が目の前に飛び込んでくる「臨場感」です。実はこの鉄道、線路幅は762㎜で、在来線(1,067mm)より狭く、新幹線(1,435mm)と比べると半分ほどしかありません。そのせいか、トンネルに入る度にデコボコの岩壁が眼前に迫りくるような感覚がして、探検をしているような気分に浸れます。
