注目ポイント
台湾のミニトマトはとても甘いのでフルーツとして取り扱われています。ヘチマは、タワシとしてはほとんど利用されていませんが、ヘチマが入った小籠包は絶品です。日本では80年近く前に食べなくなったサツマイモの葉とつるの料理が台湾にはまだあり、しかもごく普通の家庭料理になっています。今回は「台湾ウラメニュー三点セット」をご紹介しましょう。
台湾のミニトマトはフルーティー
今年、猛暑の影響で、日本のトマトが品薄状態となり、9月中旬の価格が約5割も上がりました。
日本では、「トマトとスイカは果物か野菜か」論争を小学生のころからよく耳にしてきました。私たちは野菜であると習いました。だからトマトはよくサラダに使われます。

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台湾でも普通サイズのトマトは野菜ですが、ミニトマトはフルーツとして取り扱われます。ミニトマトの中には平均糖度6~7度の2倍近い13.5度のものもあり、まさにフルーツです。この甘さを徹底的に追及して作られた台湾のミニトマトには「聖女」、「玉女」、「秀女」、「ルビー」、「小蜜」などといった品種名が付けられています。値段は糖度と比例して甘いほど高くなります。ミニトマトはフルーツとしてそのままパクパク食べるほか、梅粉をつけたり、スモモや梅などを砂糖漬けした「蜜餞」を挟んだりして食べます。台湾南部では溜まり醤油に砂糖とショウガと甘草を加えた「タレ」をつけて食べます。これは主に宴会料理で提供されるユニークなデザートです。

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ヘチマはお風呂用品か料理か
九州や沖縄など一部の地方ではヘチマが食べられていますが、日本では大部分はタワシとして利用されます。台湾では、迪化街や古い雑貨屋でヘチマタワシをたまに見かけることがありますが、大部分は食用として利用されます。ヘチマ料理は日本では馴染みがないかもしれませんが、台湾ではとてもおいしい庶民料理です。ヘチマの実と干しエビを炒めた料理はとてもあっさりとしていて、みずみずしい甘みがあります。特にヘチマの若い実は柔らかくて、ナスやズッキーニのような食感があり、加熱するととろりと柔らかくなります。
また、鼎泰豊(ディンタイフォン)を始め、小籠包のある有名な店にはヘチマ入りの小籠包もあります。熱い肉汁の中に爽やかなウリのにおいが感じられる絶品です。

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サツマイモの葉とつるは捨てない
最後に、現代の日本人にとってちょっと珍しい食材を紹介しましょう。
戦時中、日本は食糧難で、砂糖などの甘味料はもちろんのこと、基本的な食材さえなかなか手に入れない時代でした。戦争を経験したご年配の方から、サツマイモの葉やつるを軟らかく煮て食べたことを聞かされました。その後、日本が豊かになるにつれてイモの葉とつるは食べなくなりました。ほとんどの人は、葉やつるが食べられることさえ知りません。
しかし台湾ではごくありふれた家庭料理として使われています。家の庭で栽培している人もいます。陽明山などへ行けば、採れたての山菜料理の一つとして提供されるくらい人気があります。葉とつるは、気のせいかどうかわかりませんが、ほんの少しサツマイモの味がして甘いです。作り方は鶏ガラスープとニンニクでさっと炒めるだけのいたってシンプルな料理ですが、栄養価はすごく高いそうです。

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