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台湾士林地方検察署(地検)は8日、歌手で俳優のアーロン(炎亜綸)容疑者を児童・少年性的搾取防止条例違反の罪で起訴した。強制性交容疑については嫌疑不十分で不起訴とした。

(台北中央社)台湾士林地方検察署(地検)は8日、未成年との性行為を撮影し、その動画を所持、配布したとして、歌手で俳優のアーロン(炎亜綸、本名・呉秉孺)容疑者を児童・少年性的搾取防止条例違反(製造、配布・所持)の罪で起訴した。強制性交容疑については嫌疑不十分で不起訴とした。
士林地検によれば、アーロン被告は2017年にフェイスブックを通じて当時18歳未満だった被害者と知り合い、交際に発展。相手の男性が未成年だと知りながら、男性との性行為をスマートフォンを用いて動画で撮影した。また、被告は動画を理由なく所持し、2人のネットユーザーに送信したという。
被告の行為後、同条例は何度か改正されたとして、製造の罪については同条例改正前の規定を適用し、配布・所持の罪は改正後の条例を適用するとした。製造の罪は懲役6月以上5年以下、50万台湾元(約233万円)以下の罰金を併せて科すことができる。配布・所持の罪は懲役6月以上5年以下、300万台湾元(約1400万円)以下の罰金を併せて科すことが可能。
アーロン被告を巡っては今年6月、16歳の時に被告と交際していたという男性が18年に被告から性行為を強要され、意向に反して親密な動画を盗撮されたと告発していた。動画は18年秋に外部に流出し、当時メディアで大きく報じられる騒ぎとなった。男性の告発を受け、士林地検が捜査に乗り出していた。
アーロン被告は同日、フェイスブックで声明を出し、「強制性交や脅迫といった事実無根の行為の潔白が証明された」として検察官に感謝の意を示した。法に抵触する部分については「約束を必ず順守し、引き続き社会に貢献していく」とした。また、社会の不安をあおり、社会資源を消費したことに「深くお詫びする」と謝罪した。
▽ ヨウションは強制わいせつ罪で起訴
台湾台北地方検察署は8日、仕事関係者の女性に無理やりキスし、胸を触ったなどとして、俳優のヨウション(宥勝)容疑者を強制わいせつの罪で起訴した。
起訴状によれば、ヨウション被告は2016年末、仕事帰りに「方向が同じ」との理由で女性に自身の車を運転させ、被害者の女性の自宅に向かった。トイレを借りたいとして女性の自宅に入ったものの、用を済ませた後も帰ろうとせず、ソファに座っている女性の太ももの上に突然またがり、女性の耳をなめたり、女性の下着をほどいて胸をなでたりしたという。
台湾では今春、政界のセクハラや性被害などに切り込んだ政治ドラマ「WAVE MAKERS ~選挙の人々~」(人選之人—造浪者)が話題を呼び、5月末に与党・民進党の元職員がドラマ内のセリフを引用する形で党内での被害を告発したのを発端として、セクハラや性暴力を告発する「#MeToo」が政界や芸能界をはじめ各界に広がった。
(謝幸恩、葉冠吟/編集:名切千絵)