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135人の犠牲者を出したインドネシアのカンジュルハン・スタジアムでの事故から1年、数千人のファンが参加して追悼の行進を行い、犠牲者の家族数百人がスタジアム前で政府に対する要求を読み上げた。今後同様の災害を防ぐため、警察とサッカー関係者がより緊密に連携する方法を策定するよう求める声も高まっている。
ロイターによると、2023年10月1日、インドネシア・東ジャワ州マランのカンジュルハン・スタジアムで、1年前の10月1日に135人のサポーターが死亡した「カンジュルハンの悲劇」の追悼行事が行われた。
この事故は、ファンが試合後に大暴れしたことで引き起こされたが、定員を超えたスタジアム、安全計画の不備、主催者と警察のコミュニケーション不足、催涙ガスの不適切な使用など、さまざまな要因が重なって起こったと考えられており、その後、警察の警備担当者やホームチームの運営責任者などが業務上過失致死などで有罪判決を受けた。
その日は、熾烈なライバル関係にあった2チーム、ホームのアレマFCとアウェーのペルセバヤ・スラバヤの試合が行われ、アレマが2−3で敗れた。23年間ペルセバヤにホームで負けたことがなかったことを考えると大番狂わせだ。この試合は警察が暴力的な衝突を恐れてペルセバヤのファンの入場を禁止したため、観衆のほとんどを構成していたのはアレマのファンだった。
アレマFCのファンは試合が終わると不満を爆発させるためにピッチになだれ込んだため、警察は催涙ガスを噴射した。このことが群衆にパニックを引き起こし、逃げようとした多くの人々が、死者が出るほどの大混乱に巻き込まれたのだ。
スタジアムにはいくつかの出口のゲートがあるが、観客がロイターに語ったところによると、試合中はこれらのゲートのいくつかがロックされ、逃げ出そうとしたファンが行き止まりに追い込まれ、混乱をもたらしたという。医療関係者によると、犠牲者の中には窒息死した者もいれば、頭部を負傷した者もいる。
スタジアムの警備を担う警察は、FIFA(国際サッカー連盟)が禁止している催涙ガスを使用したことでも批判を浴びた。インドネシアの警察は、街頭デモを鎮圧するために催涙ガスを使用することはあるが、スポーツイベントでは使用しない傾向にある。
インドネシアのサッカー協会(PSSI)は今年2月、閣僚経験者でイタリア・セリエA(イタリアのプロサッカーリーグ)のインテル・ミラノ(イタリア・ミラノを本拠地とするサッカークラブ)元会長でもあるエリック・トヒル氏を新会長に指名した。インドネシアのサッカー界は、八百長疑惑や観衆のトラブルで汚されており、2019年から国営企業相を務めるエリック氏は、世界統括団体であるFIFAと協力して安全性等を向上させる任務を担う。彼はインスタグラムの投稿で、インドネシアに「安全で楽しいサッカーの試合」をもたらす必要があると述べた。
10月1日に行われた追悼行事では、数千人のアレマFCサポーターが街頭での行列に参加し、犠牲者の家族数百人がスタジアムの前で政府に対する要求を読み上げた。今後同様の災害を防ぐため、警察とサッカー関係者がより緊密に連携する方法を策定するよう求める声も高まっている。
インドネシアでは11月10日から「FIFA U-17 ワールドカップ インドネシア 2023」が開催され、U-17日本代表も参加している。