注目ポイント
ロイターによると、台湾の邱国正国防部長はイスラエルとハマスの衝突から教訓を得て、臨時の特別チームを立ち上げた。
台湾の邱国正国防部長(国防相)は10月12日、ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃から教訓を得るための臨時の特別チームを立ち上げたことを明らかにした。ロイターが伝えた。
パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスが現地時間7日、イスラエルを奇襲攻撃。現在のガサ地域、状況はエスカレートしている。
イスラエルとパレスチナ自治区の緊張関係は、改めて説明するまでもないだろう。それゆえにイスラエルでは18歳になると男女とも2、3年前後の兵役が義務づけられている。またイスラエル諜報特務庁、通称「モサド」は、しばしば映画やドラマなどに登場し、米CIAと並んで世界最強の諜報組織といわれてきた。あるいは、IT業界に詳しい方なら、イスラエル軍の元軍人が軍で培った高い技術力をベースにセキュリティ関係の企業や、ハイテク・スタートアップ企業を数多く生み出していることをご存知だろう。
だが今回、奇しくも50年前の1973年にイスラエルが奇襲攻撃を受けたユダヤ教の祭日「ヨム・キプール(贖罪の日)」に、同じように大規模な奇襲攻撃を受けてしまった。50年前はエジプトとシリア、今回はハマスという違いはあるが。
イスラエルは、世界最強と称された防空システム「アイアン・ドーム」で国土を守っていた。だがハマスは、一度に多数のロケット弾を発射、いわゆる「飽和攻撃」を行い、「アイアン・ドーム」を無力化したようだ。それほどのロケット弾の調達・展開はハマス単独では難しいとされ、背後にイランの存在も取り沙汰されている。
世界最強の諜報組織や防空システムが今回まったく機能せず、ハマスの奇襲攻撃を許したことは世界中の軍関係者に大きな衝撃を与えている。これほどの規模の攻撃には、何らかの兆候があったはずだ。だが、イスラエル、さらには強力な同盟国であるはずのアメリカも見逃してしまった。もしからした、最前線はキャッチしていた情報が中枢部まで伝わらなかったのか、あるいは活用されなかったのかもしれない。
ロシアのウクライナ侵攻は、ロシア軍がウクライナ国境付近に展開する様子をアメリカは衛星などで正確に把握していたとされる。
一方、台湾の状況を見ると、中国からの軍事的圧力は増大している。昨年夏以降、中国は台湾周辺で大規模な軍事演習を実施。4月には虎の子の空母「山東」が参加、台湾封鎖のシミュレーションを行ったと伝えられた。
台湾と中国の間には海があり、イスラエルとハマスが直面していた状況とは異なるものの、奇襲攻撃への備えは欠かすことはできない。ロイターによると、邱氏はイスラエルとハマスの衝突からの教訓について「情報活動が非常に重要だということだ。情報があれば多くの対策を講じることができる。戦争を回避することもできる」と述べたという。