注目ポイント
世界のネットワーク化とデジタル化が進むにつれ、さまざまな映画や小説で、或いはインターネット上で、サイバー空間に国家を建設するというアイデアを耳にするようになった。そして本当にブロックチェーンとWeb3.0の力を利用してこれを実現したいと考える人がいる。それがweb3.0プロジェクト『Joseon』だ。
デジタル国家『Joseon』の直訳は「朝鮮」だが、これは通称北朝鮮として知られる朝鮮民主主義人民共和国ではなく、1392年から1897年まで朝鮮半島を統治していた朝鮮王朝を指している。
公式ウェブサイトをクリックすると、『Joseon』は1392年に建国された朝鮮王朝の領土を持たない後継国家であると主張。直接民主主義の立憲君主制を採用し、もっともらしい政府と官僚もいることがわかる。
注目に値するのは、その経済システムがJoseon Mun(JSM)と呼ばれるイーサリアム規格「ERC-20」の仮想通貨に基づいていることである。また『Joseon』は企業の登記を歓迎し、企業に税金を課さず、プライバシーの保護に努めていると述べ、ここが世界中の仮想通貨の安全な避難港であり、誰もが合法的に仮想通貨業界に従事できるとしている。


『Joseon』の公式ウェブサイトには、国家元首は「アンドリュー・リー国王」であると記載されているが、この韓国系アメリカ人の起業家は、VPNサービス「プライベート・インターネット・アクセス」や「マウントゴックス・ライブ」を設立した人物であり、実際に朝鮮王朝の血を引いている。2018年には、朝鮮王朝高宗皇帝の皇孫である李錫氏がリー氏を後継者に指名した。

© Photo Credit: 截自 Joseon 官網
純粋なデジタル国家として、『Joseon』は朝鮮半島のいかなる領土に対しても主権を主張せず、すべての言語を国語とし、すべての宗教を公式宗教として認めるという。『Joseon』の国民になりたい人は、電子メールを入力するだけで登録手続きを開始できる。
ブロックチェーンとweb3.0を使った「国づくり」というアイデアは面白そうだが、結局、詳細を見ると彼らのオフィスはまだアメリカのロサンゼルスにある。それは本気の国づくりプロジェクトなのだろうか。その点についてコメントはしないでおこう。