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2023-11-03 ライフ

他者を受け入れ、固定観念にとらわれないーー人権や多様性への意識で台湾は日本の先を行く

© Shutterstock 2019年の台湾LGBT+プライド

注目ポイント

2019年5月に同性婚特別法が施行され、東アジアで初めて同性婚が可能な国となった台湾。2022年5月の台湾行政院(内閣)の調査では、同性婚を支持する人は60.4%で、特別法施行前の2018年調査時の37.4%から23.5ポイントも上昇するなど、市民の間でも多様な性のあり方への理解が広まっている。

17万人が参加した恒例のプライドパレード

皆さんもご存知のように、台湾は東アジアで初めて同性婚が認められた国だ。毎年10月末には台北有数のトレンド発信地・西門町で、性的マイノリティへの理解促進を目指したパレード「台湾LGBT+プライド(台湾同志遊行)」が行われている。中央社の報道によると、先月28日のパレードには17万6千人が参加し、著名人によるパフォーマンスや、多くの企業、団体がブースを出展したそうだ。

© EYEPRESS via Reuters Connect

台湾LGBT+プライド(台湾同志遊行)=2023年10月28日、台北

筆者は若い頃にドイツやオランダで花の研修をしていた時期がある。欧州の花関係者にはLGBTの方が多く、彼ら彼女らが手掛けるアレンジメントや花束は、当時の日本で触れていたものとはまったく異なり、その美しく個性的なデザインには感動したものだ。しかし、台湾に来たばかりの頃は、同性カップルがペアルックで街中を歩いていたり手をつないでいたりする様子に、少し違和感を覚えたのが正直なところだ。

台湾で暮らし、仕事をするなかで、そうした光景は当たり前になった。台湾人の知り合いにLGBTの方が大勢できたことや、台湾の花関係者にも、性差に関係なく「一人のフローリスト」として活動している方が多いことも影響していると思う。

 

小学校から始まるジェンダー教育

周りにいる台湾人、特に若い世代のLGBT当事者に話を聞いてみると、台湾は日本と比べて女性の社会的地域が高く、小学校や中学校の頃から「ジェンダー平等教育法」に基づいて多様な性的指向や社会におけるジェンダーの平等を学び、考える機会があるという。そのため、与えられた性別と異なる性自認を持っていたり、同性に性的指向が向いたりする人がいても、「特別なこと」という意識を持つ人はそれほど多くないそうだ。

筆者の経営する花屋には、毎年、プライドパレードの時期になると、LGBTの象徴であるレインボーフラッグをイメージさせるバラやカーネーション、カラフルなアレンジメントや花束を求める方が少なくないし、日頃からLGBT当事者のお客様の割合が他店より多い気がする。Googleマップに「LGBTに優しい店」というタグを付けているからかもしれないが、そもそもそんなタグすら不要と感じるほど、台湾ではどの店もLGBTフレンドリーだ。

© Shutterstock

一方、日本で就職や留学をした経験のある知人たちは、日本の社会がいまだに「男の役割」「女の役割」をはっきり分け、「体育会系」や「上下関係」の文化があり、産休や育休は女性しか取りにくい風潮があることに驚いていた。

外国人だからと差別を受け、生きづらさを感じて台湾に戻ってきたという話も聞いた。日本が人権や多様性への意識において世界のスタンダードに追いついていないことは否めない。他者を受け入れ、自身の固定観念にとらわれない台湾人のマインドは、見習うべきところが多い。

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