注目ポイント
日本統治の影響なども色濃い台湾の貸本文化と漫画の歩み100年を振り返る企画展「台湾漫画史不思議旅行―貸本屋さんと漫画の100年」が明治大学米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館(東京都千代田区猿楽町)で開催されており、古書の街の読書の秋を彩っている。入場無料。2024年2月12日まで。
企画展「台湾漫画史不思議旅行―貸本屋さんと漫画の100年」は、昨年11月下旬から今年1月下旬まで、福岡県北九州市の北九州市漫画ミュージアムで開催されて好評を博したことから今回は国立台湾歴史博物館、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターと明治大学米沢嘉博記念図書館・現代マンガ図書館の共催で東京での開催が実現した。

台湾における貸本屋の歴史変遷を中心に、どのような漫画が読まれ、流通し、制作されてきたかを一望し、日本と台湾の共通点と相違をはじめ、独自の発展を遂げた現代台湾の漫画文化を浮き彫りにする。
来年2月までの開催期間中「1期・日本統治期~1960年代」(10月6日~11月13日)、「2期・1960年代~1990年代」(11月17日~12月25日)、「1990年代~現在」(3期・2024年1月12日~2月12日)の3つの時代に区切って展示を入れ替える。

現在開催中の1期展では1895年から1945年の日本統治時代に始まった台湾の貸本文化の紹介にはじまり、多くが駄菓子屋と兼業だった戦後台湾の「貸本」の中における「のらくろ」(田川水泡)に象徴されるような日本漫画をはじめ、中華圏の絵物語小冊子「連環画」(コミックストリップ)などについて紹介。

また1949年~1987年の戒厳期、1960年~1990年の高度経済成長期、1970年~1980年の国交断絶ムーブメント、そして民主化という戦後台湾がたどった社会の変遷についても紹介されており、日本時代に端を発し、日本とは異なる漫画文化が醸成された背景が垣間見られる。

会期中は貸本文化・漫画関連のオンライン・トークイベントをYouTubeでライブ開催。11月4日は午後3時から4時半まで「『腐』力の覚醒、夢の中のBL」と題し、ボーイズラブ(BL)熱が高じて書店「Yaoi會社」を設立した店長の「小未」氏がBLコミックや同人誌などについて語る(司会・黃以安氏)。イベント開催時刻にYouTubeの國立臺灣歷史博物館 National Museum of Taiwan History チャンネルで視聴できる。
