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米政府高官の一部は、政権内に「萎縮効果」が蔓延しており、とりわけイスラエルによるガザ空爆が始まってから、イスラエルに爆撃を控え、パレスチナ人を人道的に保護してほしいというメッセージを伝えるのが非常に困難になったと内々に明かした。ある高官は、バイデン政権が始まって以来、初めて本当の意味での「沈黙の文化」が生まれたとさえ言い切った。
イスラエルとイスラム組織ハマスによる衝突が始まって以来、アメリカはイスラエルを強力に支持してきたが、最近ではバイデン政権の決定に不快感を抱く高官もいるとささやかれている。国務省高官のジョシュ・ポール氏は18日(水)、米国が紛争の一方に多くの武器を提供することは、破壊的で不当であり、イスラエルとパレスチナ人に長期的な苦しみをもたらすだけだと述べ、辞職を決意したという。
ジョシュ・ポール氏は、米国務省政治軍事局に11年間勤務し、議会・広報担当部長として武器輸出や同盟国とのパートナーシップ保護を担当していた。ポール氏は、18日に辞意を表明。ビジネスSNSのリンクトインに「辞職の理由はアメリカがイスラエルに対し殺傷兵器の供与を拡大し、加速しているからだ」と投稿した。
ポール氏は、衝突の一方の当事者への多くの武器供与を含むバイデン政権が行った一連の重大な政策決定を支持できないと率直に述べた。同氏は、これらの決定は近視眼的で、破壊的で、不当なものであり、米国が公に支持している価値観に反するものだと考えている。
ポール氏は、ハマスのイスラエル攻撃は「怪物の中の怪物」だと書く一方、「イスラエルの対応と米国の現状への支持は、イスラエルとパレスチナ人にさらに深い苦しみをもたらすだけであり、米国の長期的利益にはならないと心から思う」と綴った。そして、この紛争において、米国のような第三国は、どちらかの側に立つのではなく、その渦中にいる人々、そして将来の何世代にもわたってそこにいる人々のことを考えなければならないと固く信じているとした。
さらに「一方の占領に反対し、一方の占領に賛成することはできない。一方の自由を支持し、一方の自由に反対することはできない。より良い世界を望みながら、それを悪化させるような行動をとることはできない」と綴り、政府の決定は非常に残念なものであり、過去数十年の経験がすでに証明している通り、一方の側への盲目的な支持は、長期的には双方の人々の利益を損なう可能性があると述べた。
米ネットメディア「ザ・ハフィントン・ポスト」のインタビューに応じたポール氏は、多くの議論と討論に参加し、物議を醸した武器売却政策を変えようと努力してきたが、「何も変えられなかった」ので退職を決意したと語った。
「この11年間、私は思い出せないほど多くの倫理的な妥協をしてきた。そのどれもが重く、自分自身への約束を思い起こさせるものだった」とポール氏は辞表に記し、米国が過去数十年に犯したのと同じ過ちを繰り返していることを憂慮し、それに加担することを拒否するとした。