2021-12-08 経済

米国は台湾めぐる“あいまい戦略”やめ、アジア諸国と対中国軍事同盟を構築せよ 元国防総省幹部が緊迫する米中関係で警告

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中国の台湾進攻を防ぐには“アジア版NATO(北大西洋条約機構)”のような軍事同盟が必要だとする米・元国防総省官僚の主張を香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストが今週伝えた。
 

トランプ政権で国防総省次官補代理を務めた軍事専門家のエルブリッジ・コルビー氏は、自身の新著「The Strategy of Denial」(否定の戦略)の中で、台湾に対する米国の“あいまい戦略”という外交方針を終わらせる時が来ていると訴えた。
 

同紙によると、地政学者の多くは、今戦争が起きるとすれば、それは台湾が紛争の中心になり、米中対立は他の地域にも拡大するとみている。一方、コルビー氏は両大国の間で、大規模な戦争が勃発する危険性はあり得ると指摘する。
 

コルビー氏はトランプ政権下で「2018年米国防戦略概要」をまとめた中心人物だ。同概要は、米国にとっての安全保障上の懸念を、それまでの「テロリズム」から “戦略的競争相手”と位置付けた「中国」にシフトした。
 

同氏は「中国が世界で最も重要な地域であるアジアの覇権を目指しており、米国が阻止しなければ現実化する」と予測。「中国にとって“ベストの戦略”は、脆(ぜい)弱な米国の準同盟国である台湾を攻略することだろう」とした。

 

その台湾を統一することは中国建国の1949年以来、中国共産党の悲願であり、習近平国家主席は「必要なら武力行使も選択肢」として米国の介入をけん制している。
 

一方、米ホワイトハウスは長年、台湾問題について “あいまい戦略”を継承してきた。理由はこの戦略が中国と台湾双方の一方的な動きを抑止し、引いては本土から台湾への攻撃を防ぐことになるからというものだ。

 

ところが今年8月と10月、ジョー・バイデン米大統領は2度にわたり「台湾有事の際に米国は台湾防衛義務がある」と明言し、あいまい戦略からの脱却を示した。すると米ホワイトハウスは後日、「政策の変更を発表したわけでも、政策変更を決めたわけでもない」とし、バイデン氏の“失言”を軌道修正している。
 

先月15日には米中首脳のオンライン協議が開かれ、中国大陸と台湾が1つの国に属するという「一つの中国」政策を両国が確認した。にもかかわらずバイデン氏はその翌日、米国・ニューハンプシャー州での記者会見で、今度は「台湾が独立国である」との認識を示したと受け取られかねない発言をしたのだ。
 

この“失言”連発は「確信犯だ」とする見方もあり、バイデン政権の中国への揺さぶりと受け取る専門家も多い。その一環が今週発表された北京冬季五輪の「外交的ボイコット」だ。
 

そんな緊迫した米中関係の中、コルビー氏は米国とその同盟国は軍事衝突に備えるよう訴え、中国との「限定戦争」がアジア地域にとって被害を最小に食い止める手段だと断言した。「限定戦争」とは敵をせん滅することではなく、限定的な目標を達成することを勝利とし、平和を達成しようとする軍事手段。
 

その準備としてコルビー氏は米国と同盟国が中国に対抗して“反覇権連立”を組み、アジア版NATOの実現を呼び掛けている。その枠組みには日本を始め、インド、オーストラリア、ベトナム、フィリピン、韓国、インドネシア、マレーシアと台湾が候補に挙げられている。