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日本では鶏卵の価格が高騰し、昨年に比べて1.2倍に上昇したが、台湾も卵不足の問題に直面している。
日本では鶏卵の価格が高騰し、昨年に比べて1.2倍に上昇したが、台湾も卵不足の問題に直面している。
国際的な鶏卵不足が続く中、台湾は今年になって大量の卵を輸入したが、5月にブラジルから輸入した卵について台湾の業者が賞味期限を誤表記していたことが問題となり、9月19日、農業相と中央畜産協会会長が辞任した。

世界の多くの国で卵不足が問題となっている。英国では鶏卵生産量が9年ぶりの最低水準まで減少した。米国では卵の価格がこの1年間で60%も上昇し、過去50年間で最大の上昇率を記録した。日本でも鶏卵価格が前年から高騰している。
卵不足の原因は2022年に世界の多くの国で鳥インフルエンザが発生し、大量の鶏が殺処分されたことにある。専門家によれば、気候変動の影響で渡り鳥の生息地や移動ルートが変化したことで、世界規模でウイルス感染が広がり、感染爆発を引き起こした。更にロシア・ウクライナ戦争により、原材料費、鶏の飼料、農家の生産コストすべてが上昇していることも鶏卵価格に影響している。
台湾の鶏卵生産量は今年の春先から激減した。農業省は3月、中央畜産協会に、タイ、フィリピン、米国、ブラジル、オーストラリア、トルコ、マレーシアから合計1億4095万個の鶏卵を輸入するよう緊急に委託した。内訳はブラジルからの輸入が60%を占め、次にトルコとタイが多い。3月から7月にかけて次々と台湾に輸入された。
この内、5月にブラジルから輸入した鶏卵について、台湾の業者が賞味期限を誤表記して販売していたことが問題となり、陳吉仲農業相と中央畜産協会の林聰賢会長が9月19日夜、引責辞任した。 台湾農業省はブラジル産鶏卵の保存期間を90~120日間と保証しているが、台湾メディアが取材した専門家や学者らは、120日間の保存期間は4~5℃のコールドチェーン(低温を維持した物流)を前提としたものであると指摘した。台湾に輸入された卵は常温で販売されており、畜産協会が設定した品質や賞味期限を保てないという。
ブラジルから輸入された卵の賞味期限を120日間とするのは、5℃以下の冷蔵輸送、保管が条件であり、中央畜産協会の倉庫に入るまでは保たれていたもの、そこから卵を入手した業者は冷蔵を行っていなかった。卵はワックスをコーティング処理、密閉包装、コールドチェーンにより数か月保存が可能で、コーティング、コールドチェーンが賞味期限を延ばす鍵となる。