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日本のプロ野球は10月28日から阪神タイガースとオリックスバファローズの日本シリーズが開幕。台湾でもプロ野球・中華職業棒球大聯盟(CPBL)のプレーオフシリーズに突入し、11月4日からは日本シリーズに相当する「台湾シリーズ」(中華職棒總冠軍賽)が開催される。その見どころや楽しみ方を徹底的に解説しよう。
台湾シリーズ進出へ、統一獅と楽天猿がプレーオフ激突
CPBLでは前期、後期の2期制を導入している。
前期、後期の優勝チームが異なり、半期優勝チームのどちらかが年間勝率1位の場合は前期優勝チームと後期優勝チームが出場するが、半期優勝チームのどちらもが年間勝率1位でない場合は、年間勝率の低い方と年間勝率1位のチームとでプレーオフ戦を展開し、その勝者と半期優勝チームのうち年間勝率の高い方がシリーズ出場する。
今年は台湾の大手食品会社の親会社がオーナーの味全ドラゴンズ(味全龍)がすでにリーグ戦で、前期2位、後期は優勝で、通算成績でトップ。台湾シリーズへの切符を手にしている。
10月28日からのプレーオフシリーズでは、台湾でセブンイレブンなどを展開する企業がオーナーの統一ライオンズ(統一獅)が、日本のネット通販大手がオーナーの楽天モンキーズ(楽天猿)と台湾シリーズ進出をかけて激突する。
プレーオフは先に3勝したチームが、台湾シリーズへ進出することになる。その台湾シリーズでは、先に4勝した方が台湾の年間チャンピオンとなるシステムだ。

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通算成績で台湾シリーズの切符手にした味全龍
ドラゴンズ(味全龍)は1990年にCPBLが発足した初年度に、台湾一になった名門チーム。その後、台湾プロ野球を揺るがした「八百長事件」が発覚し、CPBLから撤退し、チームは解散していた。しかし、2021年以降、台湾北西部の新竹市をホームタウンとして再加入し、わずか2年でチームを再建。台湾シリーズに進出した。前期は3.5ゲーム差をつけられライオンズに続く2位となったドラゴンズ。後期は、モンキーズを1.5ゲーム差でおさえて優勝、通算成績でリーグ戦を通過して、台湾シリーズにコマを進めた。
ライオンズ(統一獅)は、前期は優勝も後期は、4位と振るわず、プレーオフへ。モンキーズ(楽天猿)は、前期は1つ勝ち越し3位、後期は31勝28敗1分、勝率525で、2位を確定。先述の通りライオンズと激突し、ドラゴンズへの挑戦権を争うこととなった。

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充実の投手力にホームラン王、威容誇る味全龍
ドラゴンズ(味全龍)の葉君璋監督(教練)は、ドラゴンズ黄金時代の名捕手として知られ、台湾代表としてオリンピック選手に選ばれたこともあり、国際的なプレーヤーだった。
2016年には義大ライノズ(義大犀牛=現・富邦ガーディアンズ〈富邦悍將〉)を率い、リーグ戦は2位だったが台湾シリーズでは中信ブラザーズ(中信兄弟兄)を破って台湾一に輝き葉監督も、最優秀監督に選出されている。余談だが、ドラゴンズには、かつて近鉄バファローズ、東北楽天ゴールデンイーグルスで内野手として活躍した高須洋介氏が2020年に内野守備コーチに着任。22年からは二軍監督代行を務めている。