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先週、青島ビールの生産工場で撮られた〝放尿動画〟が中国のネット上で拡散したことを受け、韓国では輸入ビール市場で常にトップクラスの人気だった同ビールの消費者離れが急加速している。韓国では2021年にも、中国産キムチをめぐり、衛生問題が起きていた。
山東省平都市にある青島ビールの第3工場で、男性が原料に放尿しているとみられる監視カメラの映像が中国の「微博(ウェイボー)」などソーシャルメディアで拡散した事件で、公安当局は21日、動画撮影者と放尿したとされる男性をすでに逮捕したと中国毎日経済新聞など現地メディアが今週、関係者の話として伝えた。
報道によると逮捕された2人は、同ビール会社の従業員ではなく部外者で、「外注業者の荷役労働者とみられる」という。中国メディアは青島ビール関係者の話として、「真相を調査している」としながらも、「画質が悪いため、映像だけでは真偽を判断しづらい」とし、「最近は動画編集技術が優れている」として、ねつ造の可能性を示唆した。
いずれにせよ、今回の騒動で青島ビールの信用は大きく損なわれ、同社の株価が急落したことは事実。韓国ではこれまで輸入ビール市場で小売店売上シェア1~2位の人気を誇った同ビール。韓国では「小便ビール」の見出しで報じられた今回の事件により、消費者からは「もう青島ビールは飲めない」など、同商品への嫌悪感が広がっている。
韓国の中央日報によると、同国の多くの中華料理店は仕入れた青島ビールの返品と代金返却を求めたが、韓国の輸入業者は拒否したという。ソウルのある中華料理店従業員は同紙に、「すでに購入した青島ビールの払い戻しができるか問い合わせたところ、(輸入業者に)無理だと告げられた」と証言。青島ビールを注文する客はいなくなったと明かした。
青島ビールは今年上半期、韓国市場における輸入ビールのシェア1位だったが、今回の事件で急激な売上ダウンで同社にとって大きな打撃になることは確実だ。韓国統計局によると、今年1月~9月までの期間、ビールの輸入量で中国は日本に次いで2位、輸入額では日本、オランダに次ぐ3位だった。ちなみに、昨年までは中国ビールが輸入額と輸入量ともに1位だった。
中央日報が取材したソウルにある別のレストランは、青島ビールの先週末の売り上げに影響はなかったと話した。だが、同ビールのコンビニエンスストアでの売り上げは激減。青島ビールを取り扱う全国コンビニチェーンの同ビールの売り上げは前週比26.2%にまで減少した。
一方、バドワイザー(米国)やステラ・アルトワ(ベルギー)などほかの輸入ビールの売り上げは前週から3割以上増加したという。
青島ビールの韓国の輸入元BK社は、同ビール生産過程の衛生面をめぐる消費者の不安を払拭するため、同ビールは国内用と海外用は別々の工場で生産され、問題の動画が撮られた青島ビール第3工場は国内向けだと説明した。