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2023-10-31 経済

「インド移転への警告」か 中国税務調査に揺れる鴻海 ぬぐえぬ「政治圧力」疑念

© REUTERS 江蘇省昆山市にあるフォックスコン工場=2023年10月23日

注目ポイント

鴻海科技集団中国子会社である富士康科技集団(フォックスコン)が中国で税務調査を受けていると、中国国営英字紙が伝えた。同社の関係者はロイターに政治的な理由からフォックスコンの件だけが報じられたと述べている。台湾は1月に総統選を控え、鴻海科技集団創業者の郭氏が無所属で出馬を表明。野党票が割れ、与党に有利に働く可能性があることから、中国政府が何らかの影響力行使を狙ったものと見られている。

iPhoneの主要サプライヤーとして知られる鴻海科技集団中国子会社である富士康科技集団(フォックスコン)が中国で税務調査に直面している。2人の関係者が23日に語ったとロイターが伝えた。さらに2人は台湾で総統選が近づくなか、政治的な思惑から国営紙がフォックスコンに対する調査を報じたのだろうと述べた。

中国の国営英字紙Global Times(環球時報)は、鴻海科技集団の中国における主要子会社のいくつかが税務調査の対象となり、当局が河南省や湖北省などにおける土地使用について立ち入り調査を行ったと報じた。2人の関係者は、ここ数カ月間に複数の企業が中国当局の調査を受けているが、鴻海科技集団だけが政治的な理由から公表されたのだろうと述べた。

鴻海科技集団の創業者で前会長の郭台銘氏は8月末に総統選への無所属での出馬を表明。Global Timesは23日、郭氏の出馬によって野党票が割れ、すでに世論調査でリードしている頼清徳副総裁の勝利が確実となる可能性があると伝えた。

頼氏は台湾の人々だけが台湾の未来を決めることができると述べており、中国政府は頼副総統を分離主義勢力と見なして、距離を取り、同氏の会談の申し出を拒否している。

 

中国国外への進出

フォックスコンに対する調査は、中国政府のどの部門からも正式に発表されていない。

ロイターは、Global Timesが調査が行われていると報じた地元当局にコメントを求めたが、まだ返答はない。

フォックスコンは中国で数十万人を雇用し、主要な投資家にもなっている。中国政府は、たびたび同社を台湾からの投資の成功例として称賛していた。だが同社は中国国外での製造拠点の多角化を推進。今回の調査はフォックスコンに対する「警告」と捉えていると1人目の関係者は語った。

「中国経済は好調ではない。我々のような大企業がインドに移転することに対する警告だ」「彼らは態度を明確にすることを求めている。ともにいるか、去るかだ」

もう1人の関係者は、調査は「想定外」なもので、比較的「異例」なものだと語った。

フォックスコンは22日に発表した声明に、法令遵守は経営の「基本原則」であり、「関連する作業や業務について積極的に協力する」と記した。23日、フォックスコンは追加するコメントはないと述べている。

ロイターは、中国の国務院台湾事務弁公室にもコメントを求めたが、返答はない。台湾の陳建仁行政院長(首相)はフォックスコンに政府の支援を申し出たが詳細は明らかにしていない。

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