注目ポイント
カボチャや魔女、お化けの飾りで街中が彩られ、仮装した若者があふれる日本のハロウィーンと比べると、台湾のハロウィーンはイベントとしてはまだまだ控えめ。しかし、最近は日本で定番の「地味ハロウィーン」が静かな脚光を浴び、ハロウィーン文化が徐々に浸透し始めている。
静かに楽しまれている台湾のハロウィーン
渋谷を中心に仮装した若者が街に繰り出す模様がメディアに取り上げられ、年中行事としてすっかり定着した日本のハロウィーン。一方、台湾ではクリスマスや旧正月の影に隠れて、もっとも目立たないイベントという印象がある。
そもそもハロウィーンは北ヨーロッパのケルト民族の「サウィン祭」にあるという。ケルト暦で11月1日は新年にあたり、その「大晦日」には死者の霊が戻ってくると信じられていた。日本の「お盆」のような伝統はキリスト教に取り入れられ、移民によってアメリカに持ち込まれると、秋の収穫祭、そして仮装した子どもたちが近所を回り、お菓子をねだる「トリック・オア・トリート」として定着した。
日本では1970年代からキデイランド原宿店でハロウィーングッズが販売され、83年には同店が日本初のハロウィーンパレードを実施。90年代後半には東京ディズニーランドや川崎市がハロウィーンイベントを始め、日本で広まるきっかけとなった。仮装する若者が急増したのは2010年代以降だそうだ。
では、台湾のハロウィーン事情はどうかというと、日本ほど浸透していないものの、近年は日系のデパートや雑貨店にカボチャのディスプレイが施され、若者が集まるクラブではハロウィーンパーティーが開かれている。

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仮装を楽しむ人も少なからずいて、最近静かな脚光を浴びているのが「地味ハロウィーン」だ。派手な仮装をするのではなく、身近な人や日常でよく見かけるシチュエーションの仮装をするもので、日本では大規模な会場で催されるほどハロウィーンイベントのひとつとして定着している。

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台湾ではまだまだ小規模だが、イベントはところどころで行われていて、筆者が足を運んだあるイベントは小さな会場に仮装した参加者があふれていた。「スマホのライトが付けっぱなしになっている人」「台湾観光に来た日本人」「妊娠していないのに席を譲られた人」など、「あ〜!いるいる!」とつい膝を打ってしまいたくなる仮装が盛りだくさんだった。言葉がわからなくてもクスッと笑えるものが多いので、ハロウィーンのタイミングで台湾を訪れる方がいたら、ぜひ地味ハロウィーンイベントを探してみてほしい。
ハロウィーンカラーの花束が人気
筆者が経営する花屋では、ハロウィーンの時期には黒、黄、オレンジのハロウィーンカラーの花束を用意している。一般的な花束にはない特殊なカラーリングが目新しいようで、誕生日プレゼントや親への贈り物、同僚や上司の昇進祝いに選ぶお客様が多い。また、ハロウィーンアレンジメントのレッスンも毎年、親子連れに好評だ。ハロウィーンカラーは子どもたちをワクワクさせるのか、カボチャに顔を描いたりコウモリをかたどったりと、夢中で工作している姿が微笑ましい。

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