注目ポイント
台湾ではコンビニやスイーツ店、街の薬膳専門店などで日頃から健康的なものを摂取しています。寒い冬に体を温めたり、滋養強壮だったり、病気や手術のあとの体力を回復させたり、又は産後の肥立ちの栄養摂取だったり、目的はいろいろです。台湾ではいろんな生薬を含む薬膳を気軽に食べることができるのです。
中秋節、双十節も終わり、今日10月25日は78回目の光復節、1945年のこの日に台北で中国戦区台湾省降服受諾式典が行われた日です。毎年この頃から朝夕の気温がどんどん下がり始め、暦の上だけではなく、体感としても本格的な秋が始まります。
台湾は沖縄より南にあり、北回帰線が台湾のど真ん中を通っています。台湾の冬は、さすがに台北市内では吐く息が白くなることはめったにありませんが、それでも意外と寒いです。台湾の人々はそんな冬を元気に乗り切るために様々な工夫をしてきました。その一つが薬膳です。
日本は、山芋、豆腐、納豆など、健康にいい食材を普段の食事に取り入れ、それを摂取することで体を健康にします。本場の薬膳は自然界にあるものすべてを食物ととらえ、それぞれの医療作用や効果を重視して作られます。体を温めたり、体力を維持・回復させたり、産後の肥立ちの栄養バランスをとったり、貧血を改善したりするときに台湾の人がよく食すのが薬膳です。
今回は台湾の人々が健康のために日頃どんなものを食べたり飲んだりしているのか、3つのグループに分けてみました。
第1グループ:コンビニで購入
疲労がたまった時や頑張らなくてはならない時など、日本ではコンビニや薬局でリポビタンDとか、ユンケルとか、オロナミンCなど栄養ドリンクを買って飲みます。台湾ではコンビニでいろいろなエキスを売っています。その代表が、鶏肉を10時間じっくり煮込んでそのエキスを抽出して作る「鶏精(ジージン)」です。タンパク質、BCAA(分岐鎖アミノ酸)、カリウムを豊富に含み、炭水化物や脂肪、糖はゼロです。受験生や妊活中の女性がよく飲みます。小さなガラスの瓶(68ml)で売られていますが、数年前から袋入りのアップグレード鶏精の販売が始まり、人気を博しています。冷凍や持ち運びが便利になりました。コンビニに行くと鶏精と同じ棚に「蜆精」や「蟲草人参」なども置いてあります。蜆精とはしじみエキスのことで、日本でもよくテレビでしじみのコマーシャルを見かけます。蟲草人参は冬虫夏草と朝鮮人参のエキスです。

© 筆者提供
第2グループ:デザート系
マンゴーかき氷や杏仁豆腐などのデザートが、日本人観光客に人気ですが、五臓の働きを助けたり、プルンプルンのお肌を保ったりしたい人には薬膳デザートがお勧めです。おいしいだけじゃなく、デザート感覚で気軽に食べられ、しかも健康に良い、まさに一石三鳥です。
生薬の原料や材料として用いられる蓮の実、松の実、枸杞(クコの実)、紅花、山査子(さんざし)、銀耳(白きくらげ)、大棗(なつめ)、蜂花粉(ビーポーレン)、百合(ユリの鱗茎)、竜眼、雪蛤膏(アカガエルの輸卵管近くの脂肪組織)等で、これらを組み合わせたデザートを出す店があります。冷たいデザートや温かいデザートも選べるし、お値段もお手頃です。食材の名前を聞いてもよくわからないし、わかったらわかったで、えっと驚くようなものもありますが、食べてみるとどれも上品な甘さでとてもおいしいです。

© 筆者提供

© 筆者提供