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中国で1本の動画が大きな波紋を呼んでいる。国内2位のビールメーカー、青島ビールは先週、同社工場で男性従業員が原料に放尿しているとみられる動画が拡散したことを受け、警察当局が捜査を進めていると発表。消費者の間では、このような行為が起きたのは「今回が初めてではないのでは」とする疑念が広まっている。
AFP通信によると、19日にソーシャルメディアに投稿された動画には、中国の大手麦酒メーカー、青島ビールの山東省青島市にある工場で、男性従業員が原料生産現場の巨大なコンテナの壁を乗り越え、そこで原料の上から放尿しているとみられる姿が映っていた。動画は中国国内のSNSでたちまち拡散し、「微博(ウェイボー)」ではすぐに数千万回再生されたという。
青島ビールは20日、「当社は、10月19日に投稿された青島ビール第3工場での動画を深刻に受け止めている」とした上で、今回の件について警察に通報し、当局による捜査が行われているとの声明を発表。「現在、問題の麦芽(モルト)を完全に密封した。当社は引き続き管理手順を強化し、商品の質を確保していく」としている。

今回の騒動をめぐり、中国の消費者の間では不安の声が高まり、SNS上では、このようなことが起こったのは、これが初めてではないのではないかという疑念が浮上している。
〝犯行〟動画を見たある微博ユーザーは、「これまでは起きていなかったとどうして言えるのか」と投稿。別のユーザーは、放尿の動機について、「男は青島ビールの信用を失墜させることが目的で、ライバル企業が画策した秘密工作だったのかもしれない」と推測した。
多くのSNSユーザーがこの動画に憤りを示し、中国で最も人気の麦酒の一つである青島ビールを擁護する書き込みも多く見受けられた。その中には、「会社側はこの男性を訴え、損害賠償を支払わせるべきだ」とし、徹底的な調査を望む声も少なくなかった。
香港のニュースサイト「香港フリープレス(HKFP)」によると、香港株式市場に上場されている青島ビールは中国第2位のビールメーカーで、同社の特長的な背の高いラガービールの瓶は、東アジアなどの飲食店では冷蔵庫に常備されているほど人気が高いという。
HKFPによると、近年、同社はクラフトエールも製造するなど、麦酒の多角化を推し進め、若い中国人の嗜好の変化にマッチするよう努めているという。
一方、SNSでは同社の管理体制を批判する声もある。青島ビールの軽くて炭酸の強い大衆向け麦酒について皮肉を込め、「ここのビールは馬の小便のようだといつも言ってきたが、どうやら間違っていたようだ」とする投稿や、青島ビールが「近いうちに〝小便風味のビール〟を発売するのではないか」といった笑えない冗談をコメントするユーザーもいた。
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