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2023-10-25 経済

ASEANがAI規制を検討 EUの野心に逆らい、ビジネスフレンドリーな内容で

© REUTERS

注目ポイント

EUは人工知能(AI)に関して、厳格な枠組みに沿った世界的なルールを求め、アジア諸国にもそれに従うように要請しているが、現在策定中のASEANの「AIガイド」は比較的緩やかなのもので、各国の文化的差異を考慮して、各国の国内規制の指針となることを意図している。

ロイター通信によると、東南アジア諸国は人工知能(AI)の規制に対してビジネスフレンドリーなアプローチをとっており、欧州連合(EU)が厳格な枠組みに沿った世界的なルールを求めていることに反発している。

ロイターは、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国による「AIの倫理とガバナンスに関する指針」(以下、AIガイド)の極秘草案を入手した。

3人の情報筋がロイターに語ったところによると、ASEANはこの草案をテクノロジー企業に回覧してフィードバックを求めており、その後、2024年1月末のASEANデジタル大臣会合で最終決定される見込みだという。この草案を受け取った企業には、メタ、IBM、グーグルなどが含まれる。

EU当局者は今年初め、アジア諸国を歴訪し、各国の政府に対して、著作権保護されたコンテンツやAIが生成したコンテンツの開示を含む、テクノロジー企業向けの新しいAI規則を採用し、EUに追随するよう説得した。

EUのAI規制とは対照的に、ASEANの「AIガイド」は各国の文化的差異を考慮するよう企業に求めており、現在のバージョンでは、容認できないリスクカテゴリーというものを規定していない。他のASEANの政策と同様、これは各国による自主的なものであり、国内規制の指針となることを意図している。

人口7億人近く、1000を超える民族と文化を持つ東南アジア諸国では、検閲、フェイクニュース、公共コンテンツ、ヘイトスピーチに関する規則が大きく異なっており、AI規制に影響を与える可能性が高い。例えばタイには、王政批判を禁じる法律がある。

テクノロジー企業の幹部たちは、ASEANの比較的手をかけないアプローチは、既存の現地法がすでに複雑なこの地域でのコンプライアンス負担を制限し、より多くのイノベーションを可能にするため、よりビジネスフレンドリーだと述べている。

IBMアジアの政務担当バイスプレジデントのスティーブン・ブライム氏は、アメリカ商務省国立標準技術研究所が作成した自主ガイドラインに言及し、 「このガイドが、アメリカのNIST AIリスク管理フレームワークなどの他の主要なAIフレームワークと緊密に連携していることも喜ばしい」 と述べた。

メタとグーグルはコメントの要請に応じなかった。

利益と害悪

このガイドは定期的に見直されることになっており、各国政府に対し、研究開発資金を通じて企業を支援するように促すとともに、ASEANにAIの導入に関するデジタル担当大臣作業部会を設置するとしている。

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