注目ポイント
台湾発祥のライブ配信サービス「17LIVE」は6月末日の時点で、日本、台湾、香港、シンガポール、米国、フィリピン、インド、マレーシアで事業を展開している。米コンサルティング会社Frost & Sullivan の調査によると、2022年には17LIVEのライブストリーミングプラットフォームの市場シェアは、日本が20.8%、台湾が26.9%に達し、両市場で主導的な地位を占めている。
「17LIVE」グループは10月2日、SPAC(特別目的買収会社)であるVertical Technology Acquisition Corporation Pte Ltd(VTAC)と株式譲渡契約(SPA)を締結し、2023年末までにシンガポール証券取引所(SGX)への上場を計画していることを発表した。今回の上場により、17LIVEのライブストリーミングプラットフォームとしての事業がさらに推進され、東南アジアや米国など成長市場の高い地域で主力であるライブストリーミング事業を拡大していくことになる。
17LIVEは、多様なライブ配信エコシステムにおいて、AI技術によるパーソナライズされた検索・レコメンドシステムを提供し、ユーザーが興味のあるコンテンツを見つけられるよう支援している。また、ユーザーはコメントや無料ギフトを通じてライブ配信者(ライバー)とリアルタイムで交流したり、デジタルギフトを通じてお金を寄付したりすることができる。
月間アクティブユーザー55万人、1日の1人当たり平均視聴時間93分
17LIVEの開示によると、2023年上半期における月間アクティブユーザー数(MAU)は平均約55万人、1日の平均視聴時間は93分、月間課金利用率は16.1%となっている。2023年6月30日現在、17LIVE Inc.は約87,000人のライバーと契約している。
更に同社はVライバー、アプリ内ゲーム、ライブEコマースなど革新的な事業を導入。2023年に入ってからは、特にVライバー数、リスナー数、エンゲージメント数において大きな成長を遂げている。
VTAC、「17LIVE」を最初の買収対象に
企業結合を目的として設立されたSPAC(特別買収目的会社)であるVTACは、その最初の買収対象に17LIVEを選択した。合併が完了した後、VTACは17LIVE Group Limitedに社名変更する予定となっている。
VTACは、9億2,500万シンガポールドル(約217億6,500万台湾ドル)を上限として17LIVEのすべての発行済株式及び払込済み株式を取得する。更に特定の財務目標の達成を条件とし、株主に対し最大1億2,200万シンガポールドル相当の新株割当交付が行われる。
17LIVEの共同創業者兼会長の潘傑賢氏は、シンガポール証券取引所(SGX)への上場により、17LIVEは東南アジア全域、更に世界的に事業を拡大できると確信していると述べた。一方、VTACのエグゼクティブ・ディレクター兼最高経営責任者(CEO)を務める姜泓匯氏は、「SGXのSPACとして初となる企業統合を発表できたことを喜ばしく思っている。17LIVEは、デジタル分野におけるエキサイティングなリーディング・プレイヤーであり、事業の継続的な成長と収益性に自信を持っている」とコメントした。