注目ポイント
今年9月、韓国サムスンのサプライヤーであるハナ・マイクロンのベトナム東北部バクザン省における第2工場が完成した。面積は約6ヘクタール。2025年までに年間売上高8億ドルの達成を目指しており、従業員4,000人を雇用する見込み。 ハナ・マイクロンは現在、ベトナムに6億ドルを投資しており、2025年には10億ドルに増額する予定である。また、韓国・ベトナムの工業技術学院と協力して研修や人材採用を行っている。
ベトナムでは半導体エコシステムが急速に発展しており、世界のサプライチェーンにおける地位も徐々に向上している。今年9月には米国とベトナムが「包括的戦略的パートナーシップ」に関係を格上げする共同声明を出し、ベトナムは半導体サプライチェーンとして大きな可能性を秘めていると評価、米国は「ベトナムの半導体エコシステムの急速な発展を支援する」として、200万米ドル(約2億9860万円)のシード投資を提供した。
今年2月に米国勢調査局が発表したデータによると、ベトナムからの半導体チップ輸入額は前年同期の3億2,170万ドル(約479億3330万円)から75%増加し、5億6,250万ドル(約838億1250万円)となった。 ベトナムには現在40社の半導体企業があり、その内38社は外国投資企業であるが、今回、韓国サムスンのサプライヤーであるハナ・マイクロンが参入し、ベトナムでの半導体チップ生産への投資額は、2025年までに10億ドル(約1490億円)に達すると発表した。

© Photo Credit: GettyImages
ハナ・マイクロンは『日経アジア』の取材に対し、同社がベトナム東北部のバクザン省にある第2工場に設備を移管中であるとこと、またバクザン省にはハナ・マイクロンの他に、Appleのサプライヤー3社があることや、隣接するバクニン省とともに、世界で生産されるサムスンの携帯電話の大半を生産していると述べた。
ハナ・マイクロンのバクザン省第2工場は9月に完成した。面積は約6ヘクタール、2025年までに年間売上高8億ドルの達成を目指しており、従業員4,000人を雇用する見込み。ハナ・マイクロンは現在、ベトナムに6億ドル(約894億円)を投資しており、2025年には10億ドルに増額する予定である。また、韓国・ベトナムの工業技術学院と協力して研修や人材採用を行っている。
しかし、ベトナムの半導体エコシステムにはまだ多くの課題がある。米国はベトナムを早急に半導体チップ生産のハブ化する計画だが、米国・ASEAN 経済協議会(US-ASEAN Business Council)ベトナム事務所のブー・トゥ・タイン所長はロイターの取材に答え「ベトナムで採用しうるハードウェアエンジニアの数は、数十億ドルの投資の需要を支えるに必要な人数には遠く及ばない」と述べた。 タイン所長によると、人口1億人のベトナムには、半導体産業を専門とするハードウェアエンジニアが5,000人から6,000人しかいないが、5年以内に2万人、10年以内に5万人の需要が予測されている。