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2023-10-18 政治・国際

中国が「一帯一路」10周年会議で成果強調 現実は習主席提唱の構想、すでに曲がり角

© REUTERS 一帯一路フォーラムの式典で、習近平国家主席と握手するインドネシアのジョコ・ウィドド大統領=2023年10月18日、北京

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中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議が北京で17日から2日間の日程で行われている。習近平国家主席が提唱してから10年を迎え、世界各地のインフラ開発を支援した成果をアピールした。中国は一帯一路を通じて国際的な存在感を高めてきたが、過剰融資で低所得国が債務危機に陥る「債務のわな」などへの批判も増え、曲がり角を迎えている。

中国メディアによると、「一帯一路」10周年の区切りに開かれた国際会議には、ロシアのプーチン大統領を始め、150か国近くから4000人以上が参加。各国の首脳らを迎えた北京では厳戒態勢が敷かれた。国際会議の会場近くでは交通が規制され、周辺では警察官が警備に当たった。

会議で中国は欧州との間を結ぶ貨物列車や、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道を建設した実績などを強調。これまで総額1兆ドル(約150兆円)を多くの国のインフラ建設に投入してきた具体例を紹介すると共に、交通や貿易を通じた相互交流、環境重視の発展、デジタル経済などの分野で各国代表が意見を交わした。

その「一帯一路」について、米紙ニューヨーク・タイムズは今週、「国際的影響力のため1兆ドル投資した中国 今後も継続できるか」との見出しで特集記事を掲載。習近平国家主席の中国は、インフラ整備のために資金を途上国に貸し付けることで国際的な存在感を高めたと説明した。

ところが「一帯一路」に参加した国の中には、スリランカのような低所得国が過剰融資を受け、債務危機に陥る「債務の罠」にはまり、〝借金のカタ〟として港湾施設などの長期使用権を中国側に委ねることになった。国民や国際社会からは中国に対する批判が高まると同時に、「軍事利用が目的」との憶測を呼ぶなど警戒感が広まり、習氏の巨大経済圏構想には再考が迫られている。

構想の歴史を振り返ると、北京大学国際戦略研究院の王緝思院長は、12年7月に中国の外交政策の原則を再構築する論文を発表したことが大きな起点となった。「西への行進」と題されたこの論文は、中国は東に位置する日本、韓国、台湾、フィリピンといった米国の強力な同盟国との対決にはあまり注意を払わず、中央アジアや中東にもっと注力すべきだと主張した。

同年後半に権力を掌握した習氏はそのアプローチを採用し、2013年、中国の経済力を利用して地政学的影響力を拡大し、米国などの先進民主主義国の影響力に対抗するため、「一帯一路で共同発展・繁栄を実現しよう」というスローガンのもと、巨大経済圏構想を立ち上げた。

以来、中国は発電所、道路、空港、通信ネットワーク、その他のインフラを建設するため、主に発展途上国に対し、総額1兆ドル(約150兆円)近くを支出し、アジアやアフリカ、ラテンアメリカ、東欧と南欧の一部との関係強化を図ってきた。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、中国は実際、「一帯一路」により世界開発における米国や世界銀行に匹敵する役割を果たした。ところが、この構想は数十の貧困国にとって、過剰融資による債務を抱える原因となった。中国はまた、契約を自国企業に向け、場合によっては経済成長が期待できないにもかかわらず、高額ながら標準以下のプロジェクトも進めてきた。

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