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2023-10-18 経済

台湾当局者の極秘タイ訪問をキャッチ?中国の安全保障と密接なファーウェイ チップ反撃に活路見出せるか

© Photo Credit : Getty Images

注目ポイント

中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は何かと物議をかもす企業である。そのビジネス手法は中国の外交および国家安全保障上の課題と密接に結びつき、多くの国に浸透している。最近においても台湾の国家安全保障当局者が極秘にタイを訪問したが、中国側がすぐに察知していたことが判明した。専門家は空港やホテルにあるファーウェイの通信設備が最も疑わしいと見ている。

ファーウェイは、(米国の)制裁を受けて以来、スマートフォンや通信機器などの市場を失いつつあり、同社の収益の大幅な減少につながっている。ファーウェイの財務報告書によると、2022年の総売上は2019年の総売上の約74%にすぎず、大きな開きがある。

しかし、ファーウェイは黙って座視するのではなく、利用可能なさまざまなリソースを活用して積極的に代替品を開発してきた。ファーウェイ独自のOS「鴻蒙(HarmonyOS)」を開発しただけでなく、独自のEDA(電子設計自動化)も立ち上げた。中国国内のウェハファウンドリと協力することで、ファーウェイは半導体の設計・製造、さらには通信技術の面でもライバルと競い合える位置まで取り戻したようだ。

 ファーウェイは9月上旬、SMIC(中芯国際集成電路製造)の7ナノチップをベースにした最新のモバイルプロセッサ「Kirin9000s」と、同チップを搭載したスマートフォン「Mate60」シリーズを発表。部品の90%以上を自社で供給したとし、同時に「HarmonyOS」の最新バージョンもリリースしている。一見すると、ファーウェイはすでに重要なブレークスルーを実現し、米国が2019年以来ファーウェイに行ってきた制裁に首尾よく抵抗したようにも見える。

だが、本当にそうなのだろうか。残念ながら、話はそこまで単純ではない。

 

制裁とカウンター制裁

 中国の友好国の多くは制裁対象国であり、ファーウェイのマーケティング戦略は中国の国家戦略にあわせて設定されているため、遅かれ早かれ欧米の利益と対立することになる。ファーウェイは早くから独自のソフトウェアとハードウェアのエコシステムの構築に取り組んでおり、中国国内で代替サプライチェーンを探し、外国企業への依存を減らそうと努力してきた。

 同時にファーウェイは、より多くの技術を吸収したいと考え、海外の合併・買収のターゲットを積極的に探してきた。この目的を達成するために、ファーウェイは米国や欧州のテクノロジー企業の一連のM&Aに乗り出し、例えばスリーコム(3Com)やモトローラのネットワーク部門の買収を試みたが、それは拒否されている。

 こうした水面下での買収計画のほとんどは失敗に終わったものの、ファーウェイは欧米企業との業務提携を通じて多くの機密情報を得た上、とりわけ通信事業と半導体設計の面で能力を大きく向上させた。

 だが、ファーウェイは新世代の「Kirin 9000s」とそれをベースとしたMate60シリーズ、さらに独自OSとEDAツールの発表により、今後さらなる躍進を遂げ、さらには米欧の制裁や市場制限から脱却することができるのだろうか。以下、個別に分析する。

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